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骨間筋まとめ

骨間筋中手骨の間に存在する手内在筋で、指の外転・内転および微細運動の制御に関与します。巧緻運動(つまみ動作・筆記動作)に不可欠な筋群です。


◆ 構成筋


◆ 機能分類(DAB / PAD)

  • DAB(Dorsal ABduct)背側骨間筋 → 指を外転(第3指から離れる)
  • PAD(Palmar ADduct)掌側骨間筋 → 指を内転(第3指へ寄せる)

◆ 起始・停止・作用・神経支配

筋群 起始 停止 主作用 神経支配
背側骨間筋 隣接する中手骨 基節骨底・伸筋腱膜 指の外転
MP関節屈曲
IP関節伸展
尺骨神経(深枝)
掌側骨間筋 中手骨掌側面 基節骨底・伸筋腱膜 指の内転
MP関節屈曲
IP関節伸展
尺骨神経(深枝)

◆ 主な働き

  • 指の外転・内転
  • MP関節屈曲
  • IP関節伸展(伸筋腱膜を介して)
  • 精密把持(つまみ動作)

◆ 触診ポイント

  • 手背の中手骨間に陥凹として触知(背側骨間筋
  • 指を開く(外転)と筋が浮き上がる
  • 掌側は深部で触診困難

◆ 臨床的特徴

  • 尺骨神経麻痺で著明に障害される
  • 骨間筋萎縮 → 手背の陥凹(骨間陥凹)
  • フローマン徴候(母指内転障害)に関与
  • 鉤爪変形(claw hand)に関連

◆ 関連症状

  • 握力低下
  • 指の開閉障害
  • 細かい作業困難(ボタン・箸操作)

◆ 東洋医学的関連


骨間筋は手の巧緻運動を支える最重要筋群であり、神経障害の評価指標としても極めて重要です。

胸筋まとめ

胸筋は胸部前面に位置する筋群で、主に肩関節の運動(内転・内旋・屈曲)上肢の固定に関与します。また、上肢が固定された状態では呼吸補助筋として胸郭の拡張にも関わります。



◆ 構成筋



◆ 起始・停止・作用・神経支配

筋名 起始 停止 主作用 神経支配
大胸筋 鎖骨内側半
胸骨前面
第1〜6肋軟骨
腹直筋鞘
上腕骨大結節稜 肩関節内転
内旋
屈曲
内側胸筋神経
外側胸筋神経
小胸筋 第3〜5肋骨 肩甲骨烏口突起 肩甲骨前方移動
肩甲骨下制
呼吸補助
内側胸筋神経


◆ 機能的特徴

  • 上肢の内転・内旋の主働筋(大胸筋
  • 押す動作(腕立て・ベンチプレス)に関与
  • 小胸筋肩甲骨の安定化に関与
  • 上肢固定時は呼吸補助筋として働く


◆ 触診ポイント

  • 大胸筋胸部前面に広く触知可能
  • 腕を内転・内旋させると収縮を確認
  • 小胸筋大胸筋深層、烏口突起周囲で圧痛確認


◆ 臨床的特徴



◆ 関連症状

  • 肩前面の痛み
  • 肩甲骨外転姿勢
  • 胸部の圧迫感
  • 腕のしびれ(胸郭出口症候群)


◆ 東洋医学的関連


胸筋は上肢運動だけでなく姿勢・呼吸機能にも影響する重要な筋群です。特に小胸筋の短縮は姿勢不良の大きな要因となります。

咀嚼筋まとめ

咀嚼筋は、顎関節を動かし、咀嚼(食物を噛む動作)を行う筋群です。これらの筋はすべて三叉神経第3枝(下顎神経)によって支配されます。

咀嚼筋は、下顎骨を動かす4つの筋から構成され、咀嚼運動・発音・顎関節の安定に重要な役割を持ちます。


◆ 構成筋



◆ 起始・停止・作用・神経支配

筋名 起始 停止 主作用 神経支配
咬筋 頬骨弓 下顎骨下顎枝外側面 下顎挙上(口を閉じる) 下顎神経(V3)
側頭筋 側頭窩 下顎骨筋突起 下顎挙上・後退 下顎神経(V3)
内側翼突筋 翼突窩 下顎骨内側面 下顎挙上・側方運動 下顎神経(V3)
外側翼突筋 蝶形骨大翼・外側翼突板 下顎骨・関節円板 下顎前突・開口 下顎神経(V3)


◆ 咀嚼運動のメカニズム



◆ 触診ポイント



◆ 臨床的特徴

  • 顎関節症(TMD)との関連が強い
  • 歯ぎしり(ブラキシズム)で過緊張
  • 側頭筋は緊張性頭痛の原因となる
  • 咬筋肥大はストレスと関連


◆ 関連症状

  • 顎関節痛
  • 開口障害
  • 側頭部痛
  • 耳周囲痛


◆ 東洋医学的関連


咀嚼筋は顎関節運動の主動筋であり、顎関節症・頭痛・ストレス関連症状と密接に関係する重要な筋群です。

表情筋まとめ

表情筋は、顔面に存在する皮筋群であり、皮膚に付着して表情を作るという特徴を持ちます。多くの骨格筋が骨から骨へ付着するのに対し、表情筋は骨 → 皮膚に付着するため、顔の細かな表情変化を可能にします。

すべての表情筋は顔面神経(第Ⅶ脳神経)によって支配されます。


◆ 表情筋の特徴


◆ 主な表情筋

部位 筋名 主な作用
前頭部 後頭前頭筋(前頭腹) 眉を上げる、額のしわを作る
眼周囲 眼輪筋 眼瞼を閉じる
鼻部 鼻筋 鼻孔の開閉、鼻背のしわ形成
口周囲 口輪筋 口唇を閉じる、突出
頬部 頬筋 頬を引き締める、咀嚼補助
頸部 広頚筋 口角を下げる、頸部皮膚を緊張

◆ 機能的分類

① 眼周囲筋

② 鼻筋群

③ 口周囲筋

  • 口輪筋
  • 大頬骨筋
  • 小頬骨筋
  • 口角挙筋
  • 口角下制筋
  • 笑筋
  • オトガイ筋

◆ 支配神経

顔面神経(第Ⅶ脳神経)

顔面神経は耳下腺内で枝分かれし、以下の5枝に分布します。

  • 側頭枝
  • 頬骨枝
  • 頬筋枝
  • 下顎縁枝
  • 頸枝

◆ 臨床的特徴

  • 顔面神経麻痺(ベル麻痺)で表情筋麻痺
  • 閉眼不能(兎眼)
  • 口角下垂
  • 鼻唇溝の消失

◆ 東洋医学的関連


表情筋は「顔面神経機能・感情表現・咀嚼補助」を担う重要な筋群であり、顔面神経麻痺の評価において極めて重要です。

腹斜筋の起始・停止・作用まとめ

腹斜筋は、体幹側壁を構成する重要な筋群であり、体幹回旋・側屈・腹圧形成に関与します。臨床的には姿勢制御、呼吸補助、腰痛との関連が極めて深い筋群です。


◆ 構成筋



◆ 起始・停止・神経支配

筋名起始停止神経支配主作用
外腹斜筋 第5〜12肋骨外側面 白線・腸骨稜前半・鼠径靱帯 肋間神経(T7〜T12) 体幹回旋(対側)・側屈・腹圧上昇
内腹斜筋 胸腰筋膜・腸骨稜・鼠径靱帯外側部 第10〜12肋骨・白線 肋間神経・腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経 体幹回旋(同側)・側屈・腹圧上昇


◆ 筋線維の走行

この交差構造により、体幹の安定性と回旋力が生み出されます。



◆ 機能的特徴

  • 体幹の回旋運動(ゴルフ・野球動作など)
  • 側屈運動
  • 腹圧形成(排便・咳嗽・分娩)
  • 呼気補助筋として作用
  • コアスタビリティへの関与


◆ 触診ポイント

  • 仰臥位で体幹を軽く回旋させると緊張が明瞭
  • 腸骨稜上部〜肋骨下部にかけて触知可能
  • 咳嗽や強制呼気で収縮を確認できる


◆ 臨床的意義

  • 腰痛との関連(腹圧低下 → 腰椎不安定性)
  • 肋骨下角の可動性制限
  • 腹部術後の筋力低下
  • スポーツ障害(腹斜筋肉離れ)


◆ 東洋医学的関連



◆ 鍼灸臨床との関連

  • 慢性腰痛患者では腹斜筋の活動低下が多い
  • 帯脈周囲の緊張緩和は体幹安定性向上に寄与
  • 刺鍼時は腹腔内臓器損傷に注意(浅刺・角度管理)


🎓 腹斜筋は「回旋と腹圧の要」であり、呼吸・姿勢・内臓機能を統合する体幹側壁の中心筋群です。

肋間筋の起始・停止・作用まとめ

Internal intercostal muscles animation
内肋間筋
External intercostal muscles animation
外肋間筋

肋間筋は、肋骨と肋骨の間(肋間)を埋める筋群で、呼吸運動の主動筋・補助筋として胸郭の拡張と収縮を担います。胸郭の安定性にも重要な役割を果たします。


◆ 構成筋

  • 外肋間筋(External Intercostals)
  • 内肋間筋(Internal Intercostals)
  • 最内肋間筋(Innermost Intercostals)


◆ 解剖学的層構造

外側から順に
外肋間筋 → 内肋間筋 → 最内肋間筋
の三層構造を形成します。



◆ 起始・停止・神経支配

筋名起始停止神経支配主作用
外肋間筋 上位肋骨下縁 下位肋骨上縁 肋間神経(T1〜T11) 肋骨挙上(吸気)
内肋間筋 上位肋骨内側下縁 下位肋骨内側上縁 肋間神経 肋骨下降(努力呼気)
最内肋間筋 内肋間筋と同様 内肋間筋と同様 肋間神経 呼気補助


◆ 筋線維の走行



◆ 作用と呼吸運動

  • 吸気時:外肋間筋が収縮し胸郭を拡張
  • 努力呼気時:内肋間筋・最内肋間筋が収縮し胸郭を縮小
  • 胸郭の剛性維持
外肋間筋は「吸気筋」、内肋間筋は「呼気筋」と整理すると理解しやすい。


◆ 触診ポイント

  • 肋骨間に指腹を沈める
  • 深呼吸時に張力変化を確認
  • 肋骨骨折・肋間神経痛部位では圧痛顕著


◆ 臨床的特徴

  • 肋間神経痛との関連
  • 咳嗽や過換気で過緊張
  • 姿勢不良(円背)で短縮傾向
  • 肋骨可動性低下は呼吸効率低下に直結


◆ 東洋医学的関連(経絡・経穴)



◆ 鍼灸臨床との関連

  • 呼吸が浅い患者では肋間筋緊張が顕著
  • 円背姿勢改善には胸郭可動域の回復が重要
  • 刺鍼時は気胸リスクに最大限注意


🎓 肋間筋は「胸郭可動性の鍵」であり、呼吸機能・自律神経機能とも密接に関係する重要筋群です。

橈側手根伸筋の起始・停止・作用まとめ

橈側手根伸筋は、前腕後面に位置する手関節伸展筋群で、手関節の伸展(背屈)と橈屈を担います。テニス肘(外側上顆炎)と密接に関連する重要な筋群です。


◆ 構成筋



◆ 起始・停止・神経支配

筋名起始停止神経支配
長橈側手根伸筋 上腕骨外側上顆上稜 第2中手骨 橈骨神経(C6〜C7)
短橈側手根伸筋 上腕骨外側上顆(総伸筋腱) 第3中手骨 橈骨神経深枝(C7〜C8)


◆ 作用



◆ 触診ポイント

  • 前腕後面橈側(親指側)
  • 拳を握り手首を背屈させると筋腹が明瞭
  • 外側上顆直下に圧痛が出やすい(特に短橈側手根伸筋


◆ 臨床・機能的特徴

  • テニス肘(外側上顆炎)の主因筋は短橈側手根伸筋
  • マウス操作・キーボード作業で過緊張
  • ドアノブ回しやペットボトル開栓で痛み増強
  • 橈骨神経障害との鑑別が重要
短橈側手根伸筋は外側上顆炎の責任筋になりやすい。


◆ 関連症状

  • 肘外側の疼痛
  • 握力低下
  • 前腕橈側の張り感


◆ 東洋医学的関連(経絡・経穴)



🎓 橈側手根伸筋は「手関節安定の要」であり、反復動作による障害が非常に多い筋群です。

板状筋の起始・停止・作用まとめ

板状筋は、後頸部から上背部にかけて位置する浅層筋で、頭部・頸部の伸展、回旋、側屈に関与します。僧帽筋の深層にあり、首こり・緊張性頭痛と密接に関係する筋群です。


◆ 構成筋



◆ 起始・停止・神経支配

筋名起始停止神経支配
頭板状筋 項靭帯、C7〜T3棘突起 乳様突起、上項線外側部 脊髄神経後枝(主にC3〜C5)
頸板状筋 T3〜T6棘突起 C1〜C3横突起 脊髄神経後枝(頸神経後枝)


◆ 作用

  • 両側収縮:頭部・頸部の伸展
  • 片側収縮:同側回旋・側屈
  • 頸椎の安定化


◆ 触診ポイント

  • 僧帽筋上部の深層
  • 乳様突起の後下方から斜め内側へ走行
  • 首を後ろへ反らす・回旋させると収縮を確認可能


◆ 臨床・機能的特徴

  • スマホ首・ストレートネックで過緊張しやすい
  • 緊張性頭痛のトリガーポイント部位
  • 後頭部痛・目の奥の痛みと関連
  • 胸鎖乳突筋との機能バランスが重要
板状筋は「首を支える後面の主働筋」。過緊張すると後頭部痛を引き起こす。


◆ 関連症状

  • 後頭部の鈍痛
  • 首の可動域制限(特に回旋)
  • 眼精疲労との関連


◆ 東洋医学的関連(経絡・経穴)



🎓 板状筋は「頸部後面の安定・回旋筋」であり、姿勢不良やストレスの影響を受けやすい重要筋群です。

菱形筋の起始・停止・作用まとめ

Rhomboid muscles animation small

菱形筋は、肩甲骨と脊柱を結ぶ深層筋で、肩甲骨の内転(寄せる動き)・下方回旋・固定を担う重要な筋です。猫背や巻き肩と密接に関係し、姿勢改善の鍵となる筋群です。


◆ 構成筋



◆ 起始・停止・神経支配

筋名起始停止神経支配
小菱形筋 第6・7頸椎棘突起 肩甲骨内側縁(肩甲棘上部) 肩甲背神経(C4〜C5)
大菱形筋 第1〜4胸椎棘突起 肩甲骨内側縁(肩甲棘下部) 肩甲背神経(C4〜C5)


◆ 作用



◆ 触診ポイント

  • 肩甲骨内側縁と脊柱の間
  • 両肩を後ろへ引く動作で収縮を確認
  • 肩甲間部の「コリ」として自覚されやすい


◆ 臨床・機能的特徴

  • 猫背・巻き肩で伸張弱化しやすい
  • デスクワークで慢性的に過緊張
  • 肩甲骨が外転位(前方に流れる)と機能低下
  • 前鋸筋僧帽筋中部とのバランスが重要
菱形筋は「肩甲骨を寄せる筋」。弱化すると姿勢が崩れ、肩こりの原因となる。


◆ 関連症状

  • 肩甲骨内側の鈍痛
  • 肩甲間部のトリガーポイント痛
  • 腕を上げにくい感覚(肩甲骨の安定不足)


◆ 東洋医学的関連(経絡・経穴)



🎓 菱形筋は「姿勢安定筋」であり、肩こり・猫背改善の中心的存在です。

腹筋群まとめ

腹筋群は、体幹前面から側腹部にかけて存在する筋群で、姿勢保持・内臓の保護・体幹安定・呼吸(呼気)補助に重要な働きを持ちます。単に「お腹を曲げる」だけでなく、スポーツ動作、呼吸、排泄、出産にも関わる重要なインナーマッスルです。


◆ 構成筋


◆ 各筋の起始・停止・作用・神経支配

筋名起始停止作用神経
腹直筋 恥骨稜・恥骨結合 第5〜7肋軟骨、剣状突起 体幹屈曲、腹圧上昇 肋間神経(T7〜T12)
外腹斜筋 第5〜12肋骨 白線、腸骨稜 体幹屈曲、回旋、側屈、腹圧上昇 肋間神経(T5〜T12)
内腹斜筋 腸骨稜、胸腰筋膜、鼠径靭帯 第10〜12肋骨、白線 体幹屈曲、回旋、側屈、腹圧上昇 肋間神経(T7〜L1)
腹横筋 第7〜12肋軟骨、胸腰筋膜、腸骨稜、鼠径靭帯 白線 腹圧上昇、体幹安定、呼気補助 肋間神経(T7〜L1)

◆ 主な働き

  • 体幹屈曲(お辞儀動作):腹直筋
  • 体幹回旋外腹斜筋内腹斜筋の協働
  • 体幹安定(コアの固定):腹横筋が中心
  • 腹圧の上昇:排尿・排便・出産・呼吸補助
  • 内臓の保護

◆ 触診ポイント

  • 腹直筋:お腹の正面、シックスパックとして表面から容易に触れる
  • 外腹斜筋:肋骨外側〜骨盤に向かう斜めライン
  • 内腹斜筋:外腹斜筋の深層、腹横筋に隣接
  • 腹横筋:直接触診困難、呼気(息を吐き切る)時に収縮を確認

◆ 臨床・機能的特徴

  • 腰痛改善の鍵は「腹横筋(インナーマッスル)
  • スポーツパフォーマンスの基盤=体幹安定
  • 咳・発声・排便・出産で腹圧が重要
  • 腹直筋偏重のトレーニングは腰痛リスク

◆ 東洋医学的関連(経絡)


🎓 腹筋群は「体幹安定」「呼吸」「内臓保護」に不可欠であり、運動・治療・東洋医学の視点からも非常に重要な筋群です。

椎前筋群まとめ

椎前筋群は、頸部の前面、脊柱の最も深層に位置する筋群で、頸椎の安定化、頭頸部の屈曲、頸部姿勢保持に重要な役割を持ちます。特に現代に多いスマホ首(ストレートネック)に関係する筋群です。


◆ 構成筋


◆ 起始・停止・作用・神経支配

筋名起始停止作用神経
頭長筋 C3~C6横突起 後頭骨底部 頭部の屈曲、姿勢安定 頸神経叢(C1~C3)
頸長筋 C3~T3椎体前面 C1~C6椎体前面 頸椎の屈曲、前弯維持 頸神経叢(C2~C6)
前斜角筋 C3~C6横突起 第1肋骨 頸部側屈、肋骨挙上(吸気補助) 頸神経叢(C4~C6)
内側頭直筋 環椎(C1)前面 後頭骨底部 環椎−頭蓋の屈曲 頸神経(C1)
外側頭直筋 環椎(C1)横突起 後頭骨外側部 頭部側屈 頸神経(C1)

◆ 主な働き(機能)

  • 頸椎の前弯維持(生理的カーブ保持)
  • 頭部・頸部の繊細な屈曲・安定
  • ストレートネック改善に重要
  • 深層筋として姿勢コントロールを行う

◆ 触診ポイント(間接的評価)

  • 胸鎖乳突筋の深部にあり直接触診は困難
  • 嚥下時の頸部安定性や顎の突出習慣から評価
  • 深層屈筋が弱い場合、胸鎖乳突筋が過緊張しやすい

◆ 臨床・機能的特徴

  • スマホ首・ストレートネックの主要原因
  • 慢性肩こり・緊張性頭痛と関連
  • 顎関節症(TMD)とも関係
  • トレーニングは「深層頸屈筋トレーニング(chin tuck)」が有効

◆ 東洋医学的関連(経絡)

  • 頸の前面は任脈胃経が走行し、嚥下や呼吸と関係
  • 胸鎖乳突筋過緊張は胆経の気滞と関連して頭痛を生む
  • 顎・舌骨筋群肝経腎経と関連)とも機能連携する

🎓 椎前筋群は「頸のインナーマッスル」であり、現代の姿勢トラブル改善には不可欠な重要筋群です。

骨盤底筋群まとめ

骨盤底筋群は、骨盤の底をハンモック状に支える深部筋群で、内臓(膀胱子宮・直腸)を支える働きを持ち、排泄や姿勢安定に重要な役割を果たします。


◆ 構成筋

  • 肛門挙筋(Levator Ani)
    • 恥骨直腸筋(Puborectalis)
    • 恥骨尾骨筋(Pubococcygeus)
    • 腸骨尾骨筋(Iliococcygeus)
  • 尾骨筋(Coccygeus)

◆ 起始・停止・作用・神経支配

筋名起始停止作用神経
恥骨直腸筋 恥骨後面 肛門管後方でループ形成 直腸を屈曲させ排便を抑制 陰部神経仙骨神経叢
恥骨尾骨筋 恥骨後面 中央腱、尾骨 骨盤内容物支持、排泄制御 陰部神経仙骨神経叢
腸骨尾骨筋 腸骨弓状線 中央腱 骨盤底支持 仙骨神経叢
尾骨筋 坐骨 尾骨仙骨 骨盤底支持、尾骨の動きに関与 仙骨神経叢(S4~S5)

◆ 主な働き(機能)

  • 膀胱子宮(女性)、直腸を支える
  • 尿・便の排泄を調整(括約・排出)
  • 腹圧の調整とコアスタビリティ向上
  • 出産時のサポート(女性)
  • 呼吸筋(横隔膜)との連動

◆ 触診ポイント(間接的評価)

  • 直接の触診は筋電図評価が主(臨床上は視触診は慎重に実施)
  • 間接的には、呼吸時の腹圧変化尿失禁の有無で機能評価
  • 横隔膜腹横筋多裂筋と連動して活動するため、これらの緊張も評価する

◆ 臨床・機能的特徴

  • 機能低下により尿失禁、姿勢不良、腰痛、骨盤臓器脱などに関連
  • 妊娠・出産、加齢、肥満、デスクワークで弱化しやすい
  • 骨盤底筋トレーニング(Kegel運動)が有効
  • 呼吸(特に吐く息)と連動させると効果的に鍛えられる

◆ 東洋医学的関連(経絡)


🎓 骨盤底筋群は「インナーユニット」の一部で、健康・姿勢・スポーツパフォーマンスに直結する重要筋群です。

大腿内転筋群まとめ

内転筋群は、大腿内側に位置し、股関節内転を中心に、屈曲や伸展、内・外旋にも関与する筋群です。歩行や姿勢保持、骨盤の安定化に重要な役割を果たします。


◆ 構成筋


◆ 起始・停止・作用・神経支配

筋名起始停止作用神経
大内転筋 恥骨下枝、坐骨枝、坐骨結節 粗線、内転筋結節 股関節:内転、屈曲、伸展
※走行により作用が異なる
閉鎖神経坐骨神経
長内転筋 恥骨体前面 大腿骨粗線内側唇中1/3 股関節:内転、屈曲 閉鎖神経
短内転筋 恥骨下枝 大腿骨粗線内側唇上部 股関節:内転 閉鎖神経
恥骨筋 恥骨上枝 大腿骨小転子下方 股関節:内転、屈曲、内旋 大腿神経(まれに閉鎖神経も)
薄筋 恥骨下枝 脛骨内側(鵞足) 股関節:内転
膝関節:屈曲、内旋
閉鎖神経

◆ 触診ポイント

  • 恥骨付近から大腿内側にかけて触れる。
  • 内転抵抗をかけるとより明瞭になる。
  • 薄筋は唯一膝下まで走るため識別しやすい。
  • 恥骨筋股関節前内側、腸腰筋の外側で触れやすい。

◆ 臨床・機能的特徴

  • 歩行時、骨盤の左右安定に関与。
  • スポーツでの方向転換・キック動作に重要。
  • 内転筋の過緊張は、恥骨痛や膝内側痛(鵞足炎)につながる。
  • 内転筋と腹横筋の協調により、体幹安定が高まる。

◆ 東洋医学的関連(経絡)

  • 肝経脾経が通過し、筋肉・靭帯の調整に関わる。
  • 内転筋の緊張は、生殖・泌尿器・下腹部症状と関係するとされる。
  • 鵞足(薄筋付着部)付近:陰陵泉(脾経)、曲泉(肝経)に関連

🎓 内転筋群は、下肢運動だけでなく骨盤の安定にも関わる重要な筋群です。スポーツ障害や姿勢改善の観点からも理解が欠かせません。

股関節 外旋筋群のまとめ

股関節の外旋筋群は、主に骨盤後面から大腿骨大転子付近へ付着する深層筋で、歩行・姿勢保持・骨盤安定性に重要な役割を担う。特に静的安定性が強く、立位・歩行時に股関節を安定させる働きを持つ。


【構成筋】


【起始・停止】


【作用】

  • 股関節外旋(全ての筋)
  • 股関節の安定(特に立脚時)
  • 梨状筋股関節屈曲60°以上で内旋に関与
  • 歩行時、骨盤の前額・水平面安定に寄与

【神経支配】


【触診ポイント】


【臨床・機能的特徴】


【関連する筋連鎖】


【東洋医学的関連】

  • 股関節・殿部は膀胱経胆経の通過部位
  • 坐骨神経痛は経絡上「経筋病」として扱う
  • 殿部の硬結は下肢冷え・歩行困難と関連(足の太陽膀胱経)
  • 胆経の失調は股関節外側痛・歩行障害に影響

殿筋群まとめ

殿筋群は骨盤後面から大腿骨へ付着する筋群で、歩行・立位・姿勢保持に重要な役割を持ち、股関節の伸展・外転・回旋を担う。人体の運動において強力な筋群であり、ランニング・ジャンプ・体幹安定に大きく関与する。


【構成筋】


【起始・停止】


【作用】


【神経支配】


【触診ポイント】

  • 大殿筋股関節伸展・外旋で著明に触知できる
  • 中殿筋は側方(大転子上部)に触れ、片脚立位で収縮を確認
  • 小殿筋は深層筋で直接触診不可だが、圧痛は大転子周囲に現れる

【臨床・機能的特徴】

  • 小殿筋の筋力低下 → 立脚側で骨盤下垂(トレンデレンブルグ徴候)
  • 大殿筋の機能不良 → 走行・ジャンプ能力低下、腰椎過伸展代償
  • 股関節外転筋群の弱化 → 膝内反(ニーイン)、ランナー膝の原因
  • 殿筋群の過緊張 → 坐骨神経痛様症状、梨状筋症候群の増悪要因

【関連する筋連鎖】


【東洋医学的関連】

舌骨上筋群まとめ

舌骨上筋群は、舌骨の上方に位置し、舌骨を引き上げることで嚥下動作や発声、舌・顎の機能をサポートする重要な筋群です。顎・舌骨喉頭の連動に深く関与し、口腔機能や咀嚼にも影響を与えます。


【構成筋】


【起始・停止】


【作用】


【神経支配】


【触診ポイント】

顎下部から触知される。開口や嚥下で緊張が変化し、過緊張では顎関節症との関連が疑われる。顎舌骨筋は舌下部の床を構成し、舌の動きと連動する。


【臨床・機能的特徴】

  • 顎関節症(TMD)と深く関与
  • 舌骨の挙上不全 → 嚥下障害やむせの原因に
  • 舌の可動域制限、構音障害に関連
  • 顎の開口制限や口腔内の違和感に影響

【関連する筋連鎖】


【東洋医学的関連】

  • 舌下は任脈督脈の要所にあたり、気滞が舌根部の詰まりとして現れやすい
  • 顎下部の硬さは胃経脾経の不調と関連するとされる
  • 梅核気、失語など気滞・痰濁との結びつきが示唆

舌骨下筋群まとめ

舌骨下筋群は、舌骨の下方に位置し、嚥下、発声、舌骨喉頭の位置調整に重要な役割を持つ4つの筋から構成されます。首前面の表層からやや深層にかけて存在し、日常の呼吸・嚥下動作に密接に関与します。


【構成筋】


【起始・停止】


【作用】


【神経支配】


【触診ポイント】

頸部前面、舌骨の下方にあり、嚥下動作時に触知しやすい。胸骨舌骨筋は表層で触れやすく、肩甲舌骨筋は中間腱の緊張として評価されることが多い。


【臨床・機能的特徴】

  • 嚥下障害・発声障害・頸部前面の異和感に関与することが多い
  • 舌骨上筋群とのバランスが崩れると顎位が不安定になる
  • 肩甲舌骨筋の緊張は胸鎖乳突筋の過緊張と関連しやすい

【関連する筋連鎖】


【東洋医学的関連】

  • 甲状軟骨周囲は任脈胃経の上要穴と関連
  • 気滞により咽喉の詰まり感(梅核気)と関連するとされる
  • 胸骨柄周囲は任脈腎経の気血循環の乱れに影響しやすい

後頭下筋群まとめ

後頭下筋群は、後頭骨と上位頸椎(C1・C2)に付着し、頭部の fine movement(伸展・回旋・側屈)を担う深層の小筋群です。姿勢制御や眼球運動とも関連が深く、緊張が続くと後頭部痛や頸部不調の要因となります。

【構成筋】


【起始・停止】

  • 大後頭直筋:起始=C2棘突起 / 停止=後頭骨の下項線外側部
  • 小後頭直筋:起始=C1後結節 / 停止=後頭骨の下項線内側部
  • 上頭斜筋:起始=C1横突起 / 停止=後頭骨(下項線の上部)
  • 下頭斜筋:起始=C2棘突起 / 停止=C1横突起

【作用】


【神経支配】

  • 後頭下神経(C1後枝)

【触診ポイント】

後頭骨の下縁(外後頭隆起のやや下)から深部に存在。僧帽筋と頭板状筋の下にあり直接の触診は困難だが、後頭下三角付近の圧痛や筋緊張として評価される。


【臨床・機能的特徴】

  • 眼球運動と連動した fine motion を担当(眼球—頭部協調)
  • 長時間のデスクワークで過緊張 → 後頭部痛・緊張性頭痛の原因に
  • 深部感覚に優れ、姿勢維持に重要

【関連する筋連鎖】


【東洋医学的関連】

ローテーターカフまとめ

ローテーターカフは肩関節(肩甲上腕関節)を取り囲む深層筋群で、上腕骨頭を関節窩にしっかりと保持しながら回旋・安定化を行う。
主に棘上筋棘下筋小円筋肩甲下筋の4筋で構成される。


1. 構成筋(Rotator cuff muscles)


2. 起始・停止


3. 支配神経


4. 作用


5. ランドマーク・触診ポイント

  • 棘上筋:肩峰内側〜肩甲上切痕付近を手で押さえると、軽い外転で緊張が触知できる(深層のため触診はやや困難)
  • 棘下筋:肩甲棘下方で筋腹が触れる。外旋で筋収縮を触れやすい
  • 小円筋棘下筋の下方に位置し、外旋+下方への抵抗で触知可能
  • 肩甲下筋肩甲骨前面に張る深層筋。直接触診は困難で、腋窩の前方から圧を加え運動で評価する(内旋で機能を確認)

6. 関連する経穴(東洋医学)

ローテーターカフは肩周囲の経絡(手の少陽三焦経足の少陽胆経手の陽明大腸経など)と臨床的に関連するため、経穴は症状に合わせて選択される。

7. 臨床的意義・関連症状

  • ローテーターカフ断裂(特に棘上筋腱断裂)が高齢者の肩痛・可動域制限の主要原因
  • 腱板炎(インピンジメント症候群):肩峰下での腱の擦過・腱炎による痛み、挙上時の痛み
  • 外旋筋群(棘下筋小円筋)の弱化:肩の安定性低下と上方への代償運動
  • 肩関節前方・後方不安定性と関連することがある(特に肩甲下筋機能不全)
  • 夜間痛、仰臥位での肩痛(腱板障害の特徴)

8. 検査・評価のポイント

  • ジャクソン/ドロップアームテスト:棘上筋障害の評価(外転後にゆっくり下ろせない)
  • ホーキンス/ネアーインピンジメントテスト:肩峰下インピンジメントの評価
  • 外旋筋力測定(ER strength):棘下筋小円筋の筋力低下の評価
  • 内旋テスト(Lift-off / Belly-press):肩甲下筋機能の評価

9. リハビリ・トレーニングと注意点

  • 段階的リハビリ:急性期は安静と疼痛管理、可動域改善 → 筋力強化(外旋筋群・内旋筋群のバランス)
  • 外旋筋(棘下筋小円筋)強化:サイドライイング外旋、エクササイズバンドでの外旋運動
  • 肩甲帯安定化:菱形筋僧帽筋下部・前鋸筋の同時強化
  • 過伸展や過負荷での腱板再損傷を避ける(高負荷の急激な運動は禁忌)

10. ストレッチとセルフケア

  • 肩甲骨内旋方向のストレッチ(胸郭前面の柔軟性改善)
  • スキャプラプッシュアップやバンドワークで肩甲帯安定化を図る
  • 夜間痛に対しては安楽位(枕やタオルで肩をやや前方・上方でサポート)を考慮

下腿三頭筋まとめ

下腿三頭筋は下腿後面に位置し、身体の“第二の心臓”とも呼ばれるほど重要な筋群です。歩行・走行・跳躍など下肢支持機能の中心的役割を担います。


1. 構成筋


2. 起始


3. 停止

  • アキレス腱を介して踵骨隆起へ停止

4. 支配神経


5. 作用

  • 足関節の底屈(最重要)
  • 腓腹筋膝関節の屈曲(補助)
  • 歩行・走行時の推進力を生み出す最大の筋群
  • 静的立位保持(姿勢保持)の中心筋(特にヒラメ筋

6. ランドマーク・触診ポイント

  • 腓腹筋下腿後面上 2/3 に明瞭な“ふくらはぎ”として触診しやすい
  • ヒラメ筋腓腹筋の深層、アキレス腱上部〜やや外側で触れやすい
  • 足底筋:触診はほぼ不可(細い腱のみ)

7. トリガーポイント(関連痛)

  • ふくらはぎ後面全体の痛み・重だるさ
  • アキレス腱周囲の痛み
  • 足底筋由来の痛みは膝窩部に放散することも
  • こむら返り(筋痙攣)の主原因となりやすい

8. 東洋医学的関連(経絡・経穴)

考えられる証
  • 腎虚:ふくらはぎの冷え・脱力
  • 気血両虚:疲れやすい、むくみ
  • 気滞:下腿後面の張り、重だるさ

9. 日常動作・臨床でのポイント

  • 歩行・走行・ジャンプの推進力の中心
  • 腓腹筋短縮は膝伸展制限や反り腰に関連
  • ヒラメ筋の柔軟性低下はアキレス腱障害のリスク増大
  • 立ちっぱなしの疲労でヒラメ筋が硬くなりやすい

10. ストレッチとエクササイズ例

ストレッチ
  • 壁押しストレッチ(膝伸展:腓腹筋)
  • 膝軽度屈曲ストレッチ(ヒラメ筋)
  • 段差ストレッチ(アキレス腱伸張)
エクササイズ
  • カーフレイズ(立位:腓腹筋強化)
  • シーテッドカーフレイズ(ヒラメ筋強化)
  • ジャンプ系トレーニング(爆発的底屈)