腓骨(Fibula)の特徴と筋付着部

Fibula - animation2

骨の名称

  • 和名:腓骨(ひこつ)
  • 英名:Fibula
  • ラテン名:Fibula

分類

  • 長骨(下腿の外側を構成)

概要

  • 脛骨の外側に位置する細長い骨で、下腿外側の支柱を形成。
  • 体重支持にはほとんど関与せず、主に筋の付着および外くるぶし(外果)として機能する。
  • 近位端で脛骨と関節し、遠位端で距骨を支える。
  • 腓骨は下腿の安定性と足関節の外側支持に重要。

形態・ランドマーク

  • 腓骨頭(caput fibulae):近位端。脛骨外側顆下部と関節し、腓骨頭靱帯により固定。
  • 腓骨頸(collum fibulae):腓骨頭の下部で、総腓骨神経が回り込む。
  • 腓骨体(corpus fibulae):三角柱状。前・後・内側面を有し、多くの筋が起始。
  • 外果(lateral malleolus):遠位端の突出部。足関節外側の骨性突起で、距骨・踵骨と連結。
  • 関節面:近位は脛腓関節、遠位は下脛腓関節および距骨外側面に関与。

構成関節

  • 上脛腓関節(superior tibiofibular joint):脛骨外側顆下部との滑膜性関節。
  • 下脛腓関節(inferior tibiofibular joint):線維性連結で足関節の安定に関与。
  • 足関節(talocrural joint):外果が距骨外側面を包み込む。

靱帯付着

  • 前・後脛腓靱帯(anterior/posterior tibiofibular ligament)
  • 前・後距腓靱帯(anterior/posterior talofibular ligament)
  • 踵腓靱帯(calcaneofibular ligament)
  • 腓骨間膜(interosseous membrane)

筋付着


神経支配(関連筋を通じて)

  • 総腓骨神経(common fibular nerve, L4〜S2)
  • 浅腓骨神経(superficial fibular nerve):長・短腓骨筋を支配。
  • 深腓骨神経(deep fibular nerve):前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋・第三腓骨筋を支配。

血管との関係

  • 腓骨動脈(fibular artery):後脛骨動脈から分枝し、腓骨後面を走行して栄養。
  • 前脛骨動脈:骨間膜前方を下降し、腓骨前面の筋に分布。
  • 腓骨静脈は同名動脈に伴行し、下腿深部静脈叢を形成。

臨床的意義

  • 腓骨骨折:外果骨折、腓骨頸部骨折など。足関節外側靱帯損傷を伴いやすい。
  • 総腓骨神経麻痺:腓骨頸部圧迫により生じ、「下垂足」を呈する。
  • 腓骨移植:骨質が緻密で、遊離・血管柄付き骨移植のドナー部位に用いられる。
  • 腓骨疲労骨折:長距離ランナーに多く、外側下腿痛を訴える。
  • 下脛腓靱帯損傷(ハイアンクルスプリント):強い外旋力で腓骨が開く外傷。

触診ポイント

  • 腓骨頭:膝外側下方に位置し、容易に触知可能。総腓骨神経の走行に注意。
  • 腓骨体:下腿外側で細く、浅層筋の下に触知可能。
  • 外果(外くるぶし):足関節外側の明瞭な骨隆起。距骨外側を包み込む。

東洋医学的関連

  • 関連経絡:足の少陽胆経、足の陽明胃経。
  • 代表的経穴:陽陵泉(GB34)懸鐘(GB39)光明(GB37)足三里(ST36)上巨虚(ST37)
  • 陽陵泉:腓骨頭前下方に位置し、筋会の要穴。筋痙攣・膝痛に用いられる。
  • 懸鐘:腓骨外側中央付近。骨髄の活性化、骨疾患に関係する「髄会の穴」。
  • 腓骨外側は胆経の経路であり、下肢外側の気血流・筋力・平衡感覚に関係する。

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