概要
距腿関節は、脛骨・腓骨の下端(いわゆる足関節の「くるぶし」部分)と距骨滑車によって構成される関節で、主に背屈と底屈を行う蝶番関節である。
距骨滑車は前方が広く、背屈時には関節がはまり込み安定する特性を持つ。
分類
- 滑膜性関節(蝶番関節)
関節を構成する骨
主な靭帯
内側(内果)側:三角靭帯- 脛舟靭帯
- 脛踵靭帯
- 脛距前靭帯
- 脛距後靭帯
- 前距腓靭帯(ATFL) – 足関節捻挫で最も損傷しやすい
- 後距腓靭帯(PTFL)
- 踵腓靭帯(CFL)
運動
- 背屈(Dorsiflexion)
- 底屈(Plantarflexion)
※内反・外反は距腿関節ではなく主に距骨下関節・距舟関節による。
触診ポイント
- 内果・外果を基点として関節裂隙の位置を確認する
- ATFL(前距腓靭帯)は外果前下方で圧痛・損傷の判定に重要
- 三角靭帯の圧痛は内返し損傷や内側痛の評価に有用
- 背屈・底屈ストレスでの痛み・不安定性を評価
臨床的重要性
- 足関節外側靭帯損傷(捻挫)の中心的な関節
- 背屈制限は歩行やスクワット動作に大きく影響
- 内果・外果骨折(果部骨折)との鑑別が重要
- 前方引き出しテストはATFL損傷の判定に用いる
- ハイアンクルスプリン(下腿遠位の靭帯損傷)との鑑別も必要
東洋医学的関連
足関節周囲は多くの経絡が集中し、捻挫・足関節痛は東洋医学でも頻繁に扱われる症状である。
関連する経絡 関連する代表的な経穴- 太谿(KI3) – 内果とアキレス腱の間、慢性足関節痛に有効
- 照海(KI6) – 内果下、内側痛・婦人科症状にも関連
- 申脈(BL62) – 外果下、内反捻挫後の不安定感に有効
- 丘墟(GB40) – 外果前下、外側痛の要穴
- 崑崙(BL60) – 足関節痛・坐骨神経痛にも応用
- 解谿(ST41) – 足関節前面、背屈関連の痛みに
- 捻挫後の疼痛・腫脹軽減(太谿、申脈、丘墟など)
- 足関節の可動域改善(背屈制限へのアプローチ)
- スポーツ障害の管理(慢性内反不安定症など)
- 冷え・むくみへの応用(腎経・脾経)
- 歩行能力改善のための周囲筋への施術
国家試験で重要なポイント
- 分類:滑膜性関節(蝶番関節)
- 構成骨:脛骨・腓骨・距骨
- 外側靭帯の構成:ATFL、CFL、PTFL
- 三角靭帯は内側で非常に強固
- 運動:背屈・底屈のみが主
- 背屈時に関節は最も安定する

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