■ 概要
エデンテストは、肩甲帯を後下方へ引くことで肋鎖間隙(鎖骨と第1肋骨の間)を狭小化し、胸郭出口症候群(thoracic outlet syndrome:TOS)の有無を評価する理学検査である。 特に肋鎖症候群(costoclavicular syndrome)の評価に用いられる。
■ 目的
- 肋鎖間隙での血管・神経圧迫の評価
- 胸郭出口症候群の部位別鑑別
- 姿勢異常による圧迫の評価
■ 方法
- 患者を座位または立位とする
- 検者は橈骨動脈の脈拍を触知する
- 患者に胸を張らせる(肩を後下方へ引く)
- 顎を軽く引き、姿勢を保持させる
- その状態で脈拍と症状の変化を確認する
■ 陽性所見
- 橈骨動脈の拍動減弱または消失
- 上肢のしびれ・疼痛・冷感
これらが認められる場合、陽性とする。
■ 解釈(病態)
肩甲帯を後下方へ引くことで、鎖骨と第1肋骨の間隔が狭くなり、以下の構造が圧迫される:
示唆される病態:
- 胸郭出口症候群(肋鎖間隙型)
- 鎖骨下部での圧迫
- なで肩・重い荷物による慢性的圧迫
■ TOS3テストの整理(重要)
3つを組み合わせることで、圧迫部位の特定が可能となる。
■ 鑑別のポイント
- 姿勢変化で症状増悪 → 肋鎖間隙の関与が強い
- 頸椎テスト陽性 → 神経根症の可能性
- 肩関節疾患 → 脈拍変化は乏しい
■ 東洋医学的関連
エデンテストで誘発される症状は、東洋医学では痺証(ひしょう)として理解される。
- 気滞血瘀:圧迫による循環障害
- 気血不通:しびれ・冷感
- 痰湿:組織の圧迫要因
関連する経絡:
- 手の太陰肺経(胸部〜上肢前面)
- 手の陽明大腸経(肩前面)
- 手の少陽三焦経(外側)
■ 鍼灸臨床との関連
● 病態把握
- 局所:鎖骨下部の圧迫・血流障害
- 全身:姿勢異常・気血循環低下
● 治療方針
- 鎖骨下部の圧迫軽減
- 肩甲帯の位置改善
- 血流改善・神経圧迫の軽減
- 経絡の通利
● 代表的な経穴
- 缺盆(胸郭出口部の要穴)
- 中府・雲門(胸部前面の調整)
- 肩井(肩上部の緊張緩和)
- 合谷・曲池(上肢症状)
- 外関(三焦経調整)
● 臨床的ポイント
- 姿勢改善(なで肩・巻き肩)が最重要
- 重い荷物の持ち方・生活指導が効果的
- 胸郭の可動性改善(呼吸訓練)も重要
■ 注意点(安全管理)
- 過度な後方牽引を避ける
- 脈拍は左右比較で評価する
- めまい・気分不良があれば中止
■ まとめ
エデンテストは、肋鎖間隙での圧迫を評価する胸郭出口症候群の重要検査である。 アドソンテスト・ライトテストと組み合わせることで障害部位の特定が可能となり、 東洋医学的には気血不通・痺証として捉え、鍼灸治療に応用できる。


