◆ 概要
総腸骨動脈(common iliac artery)は、腹部大動脈の終末枝として左右に分かれる太い動脈であり、 骨盤および下肢へ血液を供給する重要な血管です。
第4腰椎(L4)レベルで腹部大動脈が分岐して左右の総腸骨動脈となり、
それぞれ内腸骨動脈と外腸骨動脈へ分かれます。
◆ 起始
- 腹部大動脈の終末分岐
- 第4腰椎(L4)レベル
- 臍の高さ付近
◆ 走行
総腸骨動脈は腹部大動脈から左右に分岐し、 腰椎前面を下外側へ向かって走行します。
その後、仙腸関節付近で以下の2枝に分岐します。
- 内腸骨動脈(骨盤内臓・殿部へ)
- 外腸骨動脈(下肢へ)
外腸骨動脈は鼠径靭帯を通過すると大腿動脈となります。
◆ 主な分枝
◎ 内腸骨動脈
骨盤内臓器、殿部、会陰部へ血液を供給します。
- 上殿動脈
- 下殿動脈
- 内陰部動脈
- 閉鎖動脈
- 子宮動脈(女性)
- 膀胱動脈
◎ 外腸骨動脈
下肢へ向かう主要動脈であり、 鼠径靭帯を越えると大腿動脈になります。
- 下腹壁動脈
- 深腸骨回旋動脈
◆ 支配領域
- 骨盤臓器
- 殿部
- 会陰部
- 下肢
総腸骨動脈は骨盤循環と下肢循環の分岐点として機能します。
◆ 臨床的関連
◎ 閉塞性動脈硬化症
総腸骨動脈の狭窄・閉塞は、 下肢虚血の原因となります。
- 間欠性跛行
- 下肢冷感
- 足背動脈触知低下
◎ Leriche症候群
腹部大動脈終末部から総腸骨動脈の閉塞によって起こる症候群です。
- 両側下肢跛行
- 殿部痛
- 男性では勃起障害
◎ カテーテル治療
総腸骨動脈は心血管カテーテルや血管内治療の重要な通路となります。
◆ 東洋医学的観点
総腸骨動脈の走行は、 東洋医学における下腹部・骨盤部の気血循環と関係する領域に位置します。
特に以下の経絡との関連が考えられます。
骨盤臓器や生殖器の循環は、
東洋医学では「肝・腎・衝任」の働きと密接に関係します。
◆ 鍼灸との関連
総腸骨動脈が関与する骨盤・下肢循環は、 以下の症状と関連することがあります。
- 下肢冷え
- 坐骨神経痛
- 骨盤内うっ血
- 月経異常
鍼灸治療では以下の経穴が用いられることがあります。
これらの経穴刺激により、
骨盤内血流や自律神経機能の調整が期待されます。
◆ まとめ
- 腹部大動脈の終末枝
- 第4腰椎レベルで左右に分岐
- 内腸骨動脈と外腸骨動脈へ分かれる
- 骨盤臓器と下肢の血流分岐点
- 下肢循環障害の重要部位
総腸骨動脈は、 骨盤と下肢を結ぶ血行の分岐点として、 解剖学・臨床の両面で非常に重要な血管です。








