■ 概要
後方引き出しテストは、脛骨を後方へ押し込むことで後十字靭帯(PCL)の機能を評価する理学検査である。 膝関節の後方不安定性を確認するPCL評価の基本検査である。
■ 目的
- 後十字靭帯(PCL)損傷の評価
- 膝関節の後方不安定性の確認
- 外傷(ダッシュボード損傷など)の鑑別
■ 方法
■ 陽性所見
- 後方移動量の増大
- エンドフィールの消失または軟化
健側と比較して異常があれば陽性とする。
■ 解釈(病態)
PCLは脛骨の後方移動を制御するため、損傷すると脛骨が後方へ過剰に移動する。
- 後十字靭帯損傷(部分断裂・完全断裂)
- 膝関節後方不安定性
後方移動の増大+終末感の消失=PCL損傷を示唆する。
■ 後方落ち込み徴候(サギングサイン)との関係(重要)
- PCL損傷では、安静時に脛骨が後方へ落ち込む
- 膝90°屈曲位で脛骨粗面が沈んで見える
この状態で前方引き出しテストを行うと、偽陽性に見えることがあるため注意が必要である。
■ ACLテストとの対比
- 前方引き出し:ACL(前方移動)
- 後方引き出し:PCL(後方移動)
前後の安定性をセットで評価することが重要である。
■ 鑑別のポイント
- ACL損傷 → 前方不安定性
- 半月板損傷 → マクマレーテスト陽性
- 側副靭帯損傷 → 内反・外反ストレスで痛み
後方への不安定性があるかが診断の鍵となる。
■ 東洋医学的関連
PCL損傷による膝痛は、東洋医学では痺証(ひしょう)として捉えられる。
関連する経絡:
■ 鍼灸臨床との関連
● 病態把握
- 急性期:外傷+瘀血・炎症
- 慢性期:関節不安定+肝腎不足
● 治療方針
- 炎症の軽減
- 血流改善・瘀血除去
- 関節安定性の向上
- 経絡の通利
● 代表的な経穴
● 臨床的ポイント
■ 注意点(安全管理)
- 強い力で押し込みすぎない
- 急性外傷直後は慎重に実施
- サギングサインを事前に確認する
■ まとめ
後方引き出しテストは、後十字靭帯損傷を評価する基本的な理学検査である。 前方引き出しテストやラックマンテストと組み合わせることで膝関節の安定性評価が可能となり、 東洋医学的には痺証・瘀血・肝腎不足として捉え、鍼灸治療に応用できる。


