橈側手根伸筋の起始・停止・作用まとめ

橈側手根伸筋は、前腕後面に位置する手関節伸展筋群で、手関節の伸展(背屈)と橈屈を担います。テニス肘(外側上顆炎)と密接に関連する重要な筋群です。


◆ 構成筋



◆ 起始・停止・神経支配

筋名起始停止神経支配
長橈側手根伸筋 上腕骨外側上顆上稜 第2中手骨 橈骨神経(C6〜C7)
短橈側手根伸筋 上腕骨外側上顆(総伸筋腱) 第3中手骨 橈骨神経深枝(C7〜C8)


◆ 作用



◆ 触診ポイント

  • 前腕後面橈側(親指側)
  • 拳を握り手首を背屈させると筋腹が明瞭
  • 外側上顆直下に圧痛が出やすい(特に短橈側手根伸筋


◆ 臨床・機能的特徴

  • テニス肘(外側上顆炎)の主因筋は短橈側手根伸筋
  • マウス操作・キーボード作業で過緊張
  • ドアノブ回しやペットボトル開栓で痛み増強
  • 橈骨神経障害との鑑別が重要
短橈側手根伸筋は外側上顆炎の責任筋になりやすい。


◆ 関連症状

  • 肘外側の疼痛
  • 握力低下
  • 前腕橈側の張り感


◆ 東洋医学的関連(経絡・経穴)



🎓 橈側手根伸筋は「手関節安定の要」であり、反復動作による障害が非常に多い筋群です。

板状筋の起始・停止・作用まとめ

板状筋は、後頸部から上背部にかけて位置する浅層筋で、頭部・頸部の伸展、回旋、側屈に関与します。僧帽筋の深層にあり、首こり・緊張性頭痛と密接に関係する筋群です。


◆ 構成筋



◆ 起始・停止・神経支配

筋名起始停止神経支配
頭板状筋 項靭帯、C7〜T3棘突起 乳様突起、上項線外側部 脊髄神経後枝(主にC3〜C5)
頸板状筋 T3〜T6棘突起 C1〜C3横突起 脊髄神経後枝(頸神経後枝)


◆ 作用

  • 両側収縮:頭部・頸部の伸展
  • 片側収縮:同側回旋・側屈
  • 頸椎の安定化


◆ 触診ポイント

  • 僧帽筋上部の深層
  • 乳様突起の後下方から斜め内側へ走行
  • 首を後ろへ反らす・回旋させると収縮を確認可能


◆ 臨床・機能的特徴

  • スマホ首・ストレートネックで過緊張しやすい
  • 緊張性頭痛のトリガーポイント部位
  • 後頭部痛・目の奥の痛みと関連
  • 胸鎖乳突筋との機能バランスが重要
板状筋は「首を支える後面の主働筋」。過緊張すると後頭部痛を引き起こす。


◆ 関連症状

  • 後頭部の鈍痛
  • 首の可動域制限(特に回旋)
  • 眼精疲労との関連


◆ 東洋医学的関連(経絡・経穴)



🎓 板状筋は「頸部後面の安定・回旋筋」であり、姿勢不良やストレスの影響を受けやすい重要筋群です。

菱形筋の起始・停止・作用まとめ

Rhomboid muscles animation small

菱形筋は、肩甲骨と脊柱を結ぶ深層筋で、肩甲骨の内転(寄せる動き)・下方回旋・固定を担う重要な筋です。猫背や巻き肩と密接に関係し、姿勢改善の鍵となる筋群です。


◆ 構成筋



◆ 起始・停止・神経支配

筋名起始停止神経支配
小菱形筋 第6・7頸椎棘突起 肩甲骨内側縁(肩甲棘上部) 肩甲背神経(C4〜C5)
大菱形筋 第1〜4胸椎棘突起 肩甲骨内側縁(肩甲棘下部) 肩甲背神経(C4〜C5)


◆ 作用



◆ 触診ポイント

  • 肩甲骨内側縁と脊柱の間
  • 両肩を後ろへ引く動作で収縮を確認
  • 肩甲間部の「コリ」として自覚されやすい


◆ 臨床・機能的特徴

  • 猫背・巻き肩で伸張弱化しやすい
  • デスクワークで慢性的に過緊張
  • 肩甲骨が外転位(前方に流れる)と機能低下
  • 前鋸筋僧帽筋中部とのバランスが重要
菱形筋は「肩甲骨を寄せる筋」。弱化すると姿勢が崩れ、肩こりの原因となる。


◆ 関連症状

  • 肩甲骨内側の鈍痛
  • 肩甲間部のトリガーポイント痛
  • 腕を上げにくい感覚(肩甲骨の安定不足)


◆ 東洋医学的関連(経絡・経穴)



🎓 菱形筋は「姿勢安定筋」であり、肩こり・猫背改善の中心的存在です。

陰部神経(pudendal nerve)まとめ

概要

陰部神経は仙骨神経叢由来(S2–S4)の混合神経であり、 会陰部の感覚および外尿道括約筋外肛門括約筋などの随意筋を支配する。 排尿・排便・性機能の制御に重要な神経である。


起始


走行

仙骨神経叢から分岐後、 大坐骨孔(梨状筋下孔)を通って骨盤外へ出る。

坐骨棘の後方で仙棘靭帯を回り込み、 小坐骨孔から再び骨盤内(会陰部)へ入る。

その後、陰部管(Alcock管)を前方へ走行する。


主な枝

  • 下直腸神経
  • 会陰神経
  • 陰茎(陰核)背神経

支配筋(運動)


支配領域(感覚)

  • 肛門周囲
  • 会陰部皮膚
  • 陰茎・陰核
  • 陰嚢・大陰唇の一部

機能

  • 排尿・排便の随意制御
  • 性器感覚伝達
  • 射精・勃起反射補助

臨床的ポイント

  • 陰部神経痛(Pudendal neuralgia)
  • 自転車長時間乗車による圧迫障害
  • 分娩時の神経損傷
  • S2–S4神経根障害(馬尾症候群)との関連

鑑別ポイント

  • 膀胱直腸障害は副交感神経(骨盤内臓神経)も関与
  • 感覚+随意括約筋障害があれば陰部神経を疑う

関連血管

  • 内陰部動脈
  • 内陰部静脈

東洋医学的観点

陰部神経の支配領域は、 任脈督脈および足の少陰腎経と深く関連する。


関連経絡・経穴

会陰(CV1)関元(CV4)次髎(BL32)などが臨床応用される。


まとめ

陰部神経はS2–S4由来の混合神経であり、 会陰部の感覚と排尿・排便・性機能を制御する重要神経である。 骨盤内疾患や馬尾症候群との関連理解が臨床上不可欠である。

後大腿皮神経(posterior femoral cutaneous nerve)まとめ

概要

後大腿皮神経は仙骨神経叢由来の純感覚神経であり、 大腿後面から膝窩、会陰部に至る広範囲の皮膚感覚を支配する。 坐骨神経と伴走するが、運動線維は含まない。


起始


走行

仙骨神経叢から分岐後、 大坐骨孔を通って骨盤外へ出る(梨状筋下孔)。

坐骨神経の内側を伴走しながら 大腿後面中央を下降する。

遠位では膝窩部に至り、 下腿上部皮膚へ分布する枝を出す。


主な枝

  • 下臀皮神経(臀部下部皮膚)
  • 会陰枝
  • 大腿後面皮枝

支配領域(感覚)

  • 臀部下部
  • 大腿後面
  • 膝窩部
  • 会陰後部(枝による)

機能

  • 大腿後面の触覚・痛覚・温度覚伝達

臨床的ポイント

  • 坐骨神経痛との鑑別
  • 長時間座位による圧迫障害
  • 臀部注射部位選択の注意
  • S2–S3神経根障害との関連

鑑別ポイント

  • 純感覚神経(運動障害なし)
  • 坐骨神経障害では下腿・足の運動麻痺を伴う

関連血管

  • 下殿動脈
  • 大腿深動脈穿通枝

東洋医学的観点

後大腿皮神経の走行は、 足の太陽膀胱経の大腿後面走行と強く一致する。


関連経絡・経穴

承扶(BL36)殷門(BL37)委中(BL40)などが臨床応用される。


まとめ

後大腿皮神経はS1–S3由来の純感覚神経であり、 臀部下部から大腿後面にかけての皮膚感覚を担う。 坐骨神経との鑑別が臨床上重要である。

外側足底神経(lateral plantar nerve)まとめ

概要

外側足底神経は脛骨神経の終枝であり、 足底外側部の感覚および足底深層筋群の大部分を支配する混合神経である。 手における尺骨神経に相当する機能的役割を担う。


起始


走行

脛骨神経が足根管(内果後方)を通過した後、 内側足底神経と外側足底神経に分岐する。

外側足底神経は足底を外側前方へ走行し、 短趾屈筋の深層で横走する。

遠位で浅枝と深枝に分岐する。


主な枝

  • 浅枝(皮枝・第4趾外側半〜第5趾)
  • 深枝(足底深層筋支配)

支配筋


支配領域(感覚)

  • 足底外側部
  • 第4趾外側半および第5趾

機能

  • 足趾の微細運動制御
  • 横アーチ維持
  • 足底外側の感覚伝達

臨床的ポイント

  • 足根管症候群
  • 外側足底神経深枝障害(Jogger's foot)
  • 小趾外転筋萎縮
  • S1神経根障害との鑑別

鑑別ポイント


関連血管


東洋医学的観点

外側足底神経の走行は、 足の少陰腎経および足の太陽膀胱経の 足底外側走行と関連する。


関連経絡・経穴

湧泉(KI1)然谷(KI2)至陰(BL67)などが臨床応用される。


まとめ

外側足底神経は脛骨神経の終枝であり、 足底深層筋の大部分を支配する重要な混合神経である。 足のアーチ維持および趾の巧緻運動に深く関与する。

内側足底神経(Medial plantar nerve)まとめ

概要

内側足底神経は脛骨神経の終枝であり、 足底内側部の感覚および足底内側筋群を支配する混合神経である。 手における正中神経に相当する機能的役割を担う。


起始


走行

脛骨神経が足根管(内果後方)を通過した後、 内側足底神経と外側足底神経に分岐する。

内側足底神経は母趾外転筋短趾屈筋の間を前方へ走行し、 足底内側を遠位へ進む。


主な枝

  • 筋枝
  • 内側足底皮神経枝
  • 総足底趾神経(→固有足底趾神経)

支配筋


支配領域(感覚)

  • 足底内側部
  • 第1〜第3趾および第4趾内側半

機能

  • 足趾屈曲補助
  • 母趾の安定化
  • 足底内側の感覚伝達
  • 歩行時の内側縦アーチ維持

臨床的ポイント

  • 足根管症候群
  • Jogger's foot(内側足底神経障害)
  • 足底筋膜炎との鑑別
  • S1神経根障害との鑑別

鑑別ポイント


関連血管


東洋医学的観点

内側足底神経の走行は、 足の太陰脾経および足の厥陰肝経の 足底内側走行と密接に関連する。


関連経絡・経穴

太白(SP3)公孫(SP4)太衝(LR3)などが臨床応用される。


まとめ

内側足底神経は脛骨神経の終枝であり、 足底内側の運動・感覚を担う重要な混合神経である。 足根管部での絞扼が臨床上重要である。