■ 概要
手根管症候群は、手関節部の手根管内で正中神経が圧迫されることにより、 手のしびれや感覚障害、母指球筋の筋力低下を生じる絞扼性神経障害である。
- 母指〜環指橈側のしびれ
- 夜間・早朝に症状が出やすい
- 手を振ると軽快(フリックサイン)
- 進行すると母指球筋萎縮
■ 解剖
● 手根管の構造
手根骨と屈筋支帯(横手根靱帯)によって形成されるトンネル構造。
- 骨:手根骨(凹状構造)
- 屋根:屈筋支帯
● 通過する組織
※ 狭い空間に多くの腱が通るため圧迫されやすい
■ 病態
● 発生機序
- 腱鞘炎(屈筋腱の炎症)
- 手の使いすぎ(反復動作)
- 女性ホルモンの影響(妊娠・更年期)
- 浮腫(体液貯留)
● 本質
- 正中神経の圧迫
- 神経の血流障害
■ 支配領域と症状
● 感覚障害
- 母指
- 示指
- 中指
- 環指橈側(親指側半分)
※ 小指は含まれない(尺骨神経領域)
● 運動障害
- 母指対立障害
- 母指球筋萎縮(進行例)
● 特徴的所見
- 夜間痛・しびれ
- フリックサイン(手を振ると軽快)
■ 理学検査
● ティネル徴候(手関節)
手関節掌側を叩打し、指先に放散するしびれが出れば陽性。
● ファーレンテスト
手関節を最大屈曲位で保持し、しびれの再現を確認する。
60秒以内に症状が出現すれば陽性。
● 逆ファーレンテスト
手関節を背屈位で保持し、症状の誘発を確認する。
● 母指対立テスト
母指と小指を合わせる動作の筋力低下を評価。
■ 関連する筋肉
● 正中神経支配筋
● 前腕筋
■ 鍼灸治療
● 局所穴(手関節)
● 正中神経走行
● 阿是穴
- 手根管部の圧痛点
■ 遠隔穴
■ 経絡的理解
手掌側の症状は、特に心包経の影響が強い。
■ 鍼灸的ポイント
- 手根管内圧の軽減を意識する
- 屈筋腱の緊張緩和
- 前腕から手部までの連続性をみる
- 生活指導(手の使いすぎ回避)が重要








