◆ 概要
上行咽頭動脈(ascending pharyngeal artery)は、 外頸動脈の内側から分岐する最も細い枝の一つであり、 咽頭壁・頭蓋底・中耳などへ血液を供給する重要な動脈です。
小さな血管ではありますが、頭蓋底および咽頭深部の循環に関与し、 神経・硬膜・咽頭筋などへの血流供給を担います。
◆ 起始
◆ 走行
上行咽頭動脈は外頸動脈の内側から分岐し、 咽頭壁に沿って上方へ上行します。
咽頭収縮筋の内側を通りながら、 咽頭・頭蓋底・中耳へ枝を送ります。
◆ 主な分枝
◎ 咽頭枝(pharyngeal branches)
- 咽頭壁
- 咽頭収縮筋
- 耳管周囲
◎ 下鼓室動脈(inferior tympanic artery)
- 鼓室(中耳)へ血流供給
- 鼓室神経叢に関与
◎ 髄膜枝(meningeal branches)
- 後髄膜動脈
- 硬膜へ血流供給
◎ 神経栄養枝
これらの神経は頸静脈孔周囲で血流供給を受けます。
◆ 支配領域
- 咽頭壁
- 咽頭筋群
- 耳管周囲
- 中耳(鼓室)
- 頭蓋底硬膜
主に咽頭深部と頭蓋底の循環を担います。
◆ 臨床的関連
◎ 頭蓋底腫瘍
上行咽頭動脈は頭蓋底腫瘍(傍神経節腫など)の 栄養血管となることがあります。
◎ 鼓室腫瘍
鼓室腫瘍や血管腫では、 下鼓室動脈が関与する場合があります。
◎ 硬膜動静脈瘻
髄膜枝は頭蓋内硬膜動静脈瘻の 供血動脈となることがあります。
◆ 解剖学的特徴
上行咽頭動脈は外頸動脈の枝の中でも 最も内側を走行する動脈です。
また、頭蓋底へ直接枝を送るため、 外頸動脈系と頭蓋内循環の連絡に関与します。
◆ 東洋医学的観点
上行咽頭動脈の分布領域は、 東洋医学では咽喉・耳・脳に関係する領域と対応します。
咽喉は「気の出入りの門」とされ、 呼吸・発声・嚥下に重要な部位とされています。
◆ 鍼灸臨床との関連
上行咽頭動脈の循環が関与する可能性のある症状には、 以下のものがあります。
- 咽喉痛
- 嚥下障害
- 耳鳴
- 中耳炎
- 声のかすれ
臨床では以下の経穴が用いられることがあります。
これらの経穴は、 咽喉・耳・頭部の気血循環調整に用いられます。
◆ まとめ
- 外頸動脈の内側枝
- 咽頭壁に沿って上行する細い動脈
- 咽頭・中耳・頭蓋底へ血流供給
- 神経および硬膜の栄養血管
- 頭蓋底病変で重要
上行咽頭動脈は、 咽頭深部から頭蓋底までの循環を支える重要な小動脈です。









