肩甲挙筋の起始・停止・作用まとめ

Levator scapulae muscle animation small

1.筋肉の名称(和名・英名・ラテン語)

  • 和名:肩甲挙筋(けんこうきょきん)
  • 英名:Levator scapulae muscle
  • ラテン語:Musculus levator scapulae

2.起始・停止

  • 起始:
    • 第1〜第4頸椎の横突起後結節(posterior tubercles of transverse processes of C1–C4)
  • 停止:
    • 肩甲骨内側縁の上部(肩甲骨上角から肩甲棘根部まで)
頸椎と肩甲骨を直接つなぐ筋で、首をすくめる動作肩甲骨の引き上げに関与する。 斜角筋や僧帽筋上部線維と機能的に連動する。

3.支配神経

  • 肩甲背神経(C5)
  • 頸神経叢の枝(C3・C4)

4.作用

  • 肩甲骨の挙上
  • 肩甲骨の下方回旋(肩甲骨上角を内上方へ引く)
  • 両側収縮:頸部の伸展
  • 片側収縮:頸部の側屈(同側)・回旋(同側)
肩甲挙筋は僧帽筋上部線維とともに肩を引き上げる働きを持つが、 過緊張すると首の付け根のこりや痛みの原因となる。

5.関連する経穴

肩甲挙筋は足の少陽胆経手の太陽小腸経の経絡上にあり、 「肩井」や「肩外兪」は肩こり・頸肩部痛の代表的治療点となる。

6.臨床での関連

  • 慢性肩こり(首〜肩甲骨内側の痛み・こわばり)
  • 頸椎症・ストレートネックによる筋緊張
  • 頸肩腕症候群(肩甲挙筋部のトリガーポイントによる放散痛)
  • 肩甲骨の動きの制限(肩甲骨上方移動・下方回旋異常)
  • ストレス・姿勢不良による過緊張(常に肩をすくめる状態)
肩甲挙筋の緊張は肩甲骨の可動制限・頸部痛・片頭痛に直結する。 鍼灸では「肩井」「肩外兪」「天柱」などを用い、頸肩部の血流改善を図る。

7.臨床メモ

  • 「肩甲骨を上に引く筋」として、日常姿勢(スマホ首・猫背)で常に緊張しやすい。
  • ストレッチでは「肩甲骨を下げて頭を反対側に倒す」姿勢が効果的。
  • 僧帽筋上部・斜角筋と連動するため、併せて緩めると効果的。
  • トリガーポイントは頸部後側・肩甲骨内上角付近に出現しやすい。

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