小胸筋の起始・停止・作用まとめ

Pectoralis minor muscle animation small

1.筋肉の名称(和名・英名・ラテン語)

  • 和名:小胸筋(しょうきょうきん)
  • 英名:Pectoralis minor muscle
  • ラテン語:Musculus pectoralis minor

2.起始・停止

  • 起始:
    • 第3〜第5肋骨の前面(肋軟骨近く)
  • 停止:
    • 肩甲骨烏口突起(coracoid process of scapula)
大胸筋の深層に位置し、胸郭から肩甲骨をつなぐ三角形の筋。 「胸郭出口」の一部を形成し、神経・血管の通過路と密接に関係する。

3.支配神経

  • 内側胸筋神経(C8・T1)
  • 外側胸筋神経(C6〜C8)からの枝を受ける場合もある

4.作用

  • 肩甲骨の下制・前方移動(肩をすくめて前へ出す動き)
  • 肩甲骨の下方回旋
  • 吸息補助筋(肋骨を引き上げる:胸式呼吸を助ける)
小胸筋は肩甲骨を胸郭に引き寄せる筋であり、 緊張すると肩の巻き込み・猫背姿勢を助長する。

5.関連する経穴

小胸筋の走行域は手の太陰肺経および手の厥陰心包経と重なり、 胸の張り・呼吸の浅さ・肩前方痛の治療における要点となる。

6.臨床での関連

  • 胸郭出口症候群(小胸筋部で腕神経叢・鎖骨下動脈を圧迫)
  • 巻き肩・猫背姿勢:小胸筋短縮により肩甲骨が前方回旋
  • 肩の前方痛(肩甲骨の動きの制限による)
  • 呼吸が浅い・胸の圧迫感:吸息補助筋として過緊張
  • 上肢のしびれ・冷感(神経・血流の圧迫による)
小胸筋の過緊張は胸郭出口症候群の主要因の一つであり、 肩の前方痛・腕のしびれ・冷感を伴うことがある。 鍼灸では「中府」「雲門」「天池」などでアプローチする。

7.臨床メモ

  • 大胸筋の奥にあるため、触診や刺鍼は慎重に行う(胸膜・血管に注意)。
  • 小胸筋短縮により肩甲骨の可動域(特に後傾・外旋)が制限される。
  • 姿勢改善では「肩甲骨後傾・胸郭拡張ストレッチ」が有効。
  • 広背筋・僧帽筋下部線維とのバランスを整えることで姿勢が改善する。

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