概要
顎関節は、下顎骨と側頭骨の間に形成される滑膜関節で、咀嚼・会話・嚥下などの日常生活に不可欠な運動を担う関節です。
関節円板を介して上下2つの関節腔に分かれる特徴的な構造を持ち、
回転運動(蝶番運動)と滑走運動の組み合わせによって開口・閉口・前後運動・側方運動を行います。
構成する骨
関節の種類
滑膜関節(複合関節・蝶番滑走関節)
関節の構造
- 関節円板(線維軟骨)
- 上関節腔(滑走運動)
- 下関節腔(回転運動)
運動
- 開口(下制)
- 閉口(挙上)
- 前方運動(前突)
- 後方運動(後退)
- 側方運動
支持する靭帯
- 外側靭帯(顎関節靭帯)
- 蝶下顎靭帯
- 茎突下顎靭帯
- 関節包
作用筋(咀嚼筋)
閉口筋
開口筋
ランドマーク(触診)
- 耳珠の前方約1cmに関節部がある
- 開口・閉口時に下顎頭の動きを触知可能
- 開口時のクリック音は関節円板の偏位を示唆することがある
臨床で重要なポイント
- 顎関節症(TMJ disorder)
- 開口障害
- クリック音・関節雑音
- 咀嚼筋の緊張
- 頭痛・耳鳴り・頸肩こりとの関連
- 歯ぎしり(ブラキシズム)
東洋医学的関連
顎関節周囲は手足の陽経が集中する重要な部位であり、特に顔面を走行する
足の陽明胃経・手の少陽三焦経・足の少陽胆経の影響を強く受けます。
また顎関節の緊張は肝気鬱結・ストレス・情志の停滞とも関係が深いとされます。
関連する主な経絡
顎関節周囲の代表的経穴
- 下関(ST7):顎関節の代表穴、開口障害や顎関節痛
- 頬車(ST6):咬筋部、咀嚼筋緊張
- 大迎(ST5):下顎角付近、顔面部の気血調整
- 聴宮(SI19):顎関節と耳症状の改善
- 聴会(GB2):耳鳴り・顎関節痛
- 耳門(TE21):顎関節機能改善
遠隔治療穴(よく使われる)
鍼灸臨床での関連
- 顎関節症
- 開口障害
- 歯ぎしり・食いしばり
- 側頭部頭痛
- 耳鳴り・耳閉感
- ストレス関連症状
顎関節は咀嚼筋・頸部筋・姿勢(特に頭位)と密接に関係するため、
鍼灸治療では局所+頸部+遠隔穴を組み合わせて調整することが多い部位です。

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