概要
頸横動脈は甲状頸動脈から分岐する動脈で、主に僧帽筋・肩甲骨周囲・頸背部へ血液を供給する血管である。
頸部を横走して肩甲骨方向へ向かうことからこの名称が付けられている。
主な分枝
①浅枝(表在枝)
- 僧帽筋へ分布
- 肩背部の表層筋群の血流を担う
②深枝(肩甲背動脈)
栄養領域
これらの筋は姿勢維持・肩甲骨安定に重要な筋群であり、慢性的な肩こりの発生源となりやすい部位である。
肩甲骨周囲動脈吻合
頸横動脈の深枝(肩甲背動脈)は、次の血管と吻合して肩甲骨周囲動脈網を形成する。
この吻合により、
などの際に側副循環として働く。
解剖学的特徴
臨床的意義
肩こりとの関連
頸横動脈は僧帽筋・菱形筋・肩甲挙筋など、
慢性肩こりの主要な筋群を栄養する血管である。
これらの筋の緊張が続くと
- 血流低下
- 筋疲労
- トリガーポイント形成
などが起こり、頸肩部痛の原因となる。
肩甲背神経障害
肩甲挙筋や菱形筋の筋力低下・肩甲骨内側部痛は、
背側肩甲神経の障害と関連することがあり、頸横動脈の走行部と近接している。
肩甲骨内側部痛
- 長時間のデスクワーク
- 猫背姿勢
- スマートフォン姿勢
などにより、この血管の灌流領域の筋群に慢性循環障害が生じる。
東洋医学的関連
肩背部の気血循環
頸横動脈の栄養領域は、東洋医学でいう
の走行と重なる。
特に肩甲骨内側縁は、東洋医学では 「気血が滞りやすい部位」とされる。
肩甲骨内側縁と膏肓
膏肓は古典で
- 慢性虚弱
- 肺疾患
- 慢性疲労
などに重要な穴とされ、肩甲骨内側部の深部循環と関係すると考えられる。
肩背部と肺経・心包経
肩背部は
- 肺の宣発粛降
- 気血循環
とも関連するとされ、呼吸障害やストレス性緊張が肩背部に現れることがある。
鍼灸臨床との関連
肩こり治療の重要領域
頸横動脈が栄養する筋群は、鍼灸臨床で最も治療対象となる部位の一つである。
これらの経穴への刺鍼は
- 筋緊張緩和
- 血流改善
- トリガーポイント解除
などの作用を通じて、頸横動脈領域の循環改善に寄与すると考えられる。
姿勢性肩こり
デスクワークに伴う
などは、この血管領域の循環障害と関連する。
自律神経との関連
頸肩部の筋緊張は交感神経緊張と関連することが多く、
鍼刺激による血流改善は自律神経調整にも寄与する。

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