◆ 基本概要
肩甲上動脈(suprascapular artery)は、鎖骨下動脈系から分岐し、 肩甲部および肩関節周囲へ血流を供給する重要な動脈です。 とくに肩甲骨周囲動脈吻合の一翼を担い、 肩関節運動・肩こり・肩関節障害の理解において欠かせない血管です。
◆ 起始と走行
肩甲上動脈は、多くの場合、甲状頸動脈幹から分岐します。 起始後、前斜角筋前方を外側へ走行し、 鎖骨下を通って肩甲上切痕へ向かいます。 肩甲上切痕では上肩甲横靱帯の上を通過し、 肩甲棘上窩から棘下窩へと走行します。
◆ 主な分枝
- 棘上筋枝
- 棘下筋枝
- 肩関節枝
- 肩甲骨周囲枝
◆ 支配領域(灌流領域)
肩甲上動脈は、棘上筋、棘下筋、肩関節包、 および肩甲骨上部周囲組織を主に灌流します。 回旋筋腱板機能の維持において重要な血流供給源です。
◆ 触診・体表解剖の要点
肩甲上動脈自体の拍動は触知困難です。 ただし、肩甲棘上窩・棘下窩の筋緊張や圧痛は、 局所循環不全や肩関節障害の評価指標となります。
◆ 臨床的重要性
- 肩甲骨周囲動脈吻合の主要構成要素
- 肩関節可動域制限・五十肩との関連
- 回旋筋腱板障害の循環評価
- 肩甲上神経との位置関係(切痕部)
◆ 東洋医学的観点
肩甲上動脈の走行域は、手太陽小腸経・足太陽膀胱経の肩背部経穴と重なります。 肩外兪・肩中兪・天宗など、 肩こり・肩関節痛に頻用される取穴において、 深部循環の理解は施術精度向上に寄与します。

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