鎖骨(Clavicula)の特徴と筋付着部
骨の名称
- 和名:鎖骨
- 英名:Clavicle
- ラテン名:Clavicula
分類
- 長骨(S字状に湾曲し、体幹と上肢をつなぐ骨帯の一部)
特徴・ランドマーク
- 形状
- 前方から見るとS字状に湾曲し、内側が凸、外側が凹。
- 上面は平滑、下面には筋・靭帯付着の粗面がみられる。
- 内側端(胸骨端 / sternal end)
- やや太く、胸骨柄と関節(胸鎖関節)を形成。
- 関節円板を介し、運動性の高い鞍関節様構造。
- 外側端(肩峰端 / acromial end)
- やや扁平で、肩甲骨の肩峰と関節(肩鎖関節)を形成。
- 上面・下面に筋・靭帯の付着部をもつ。
- 下面の主なランドマーク
- 円錐結節(conoid tubercle):烏口鎖骨靭帯の円錐靭帯部が付着。
- 菱形線(trapezoid line):烏口鎖骨靭帯の菱形靭帯部が付着。
- 胸鎖乳突筋面:胸鎖乳突筋の停止部。
- 鎖骨下筋溝(subclavian groove):鎖骨下筋の付着部。
- 肋鎖靭帯圧痕(impression for costoclavicular ligament):胸骨端下面にあり、肋鎖靭帯が付着。
関節
- 胸鎖関節(sternoclavicular joint):鎖骨胸骨端と胸骨柄との間。関節円板あり。
- 肩鎖関節(acromioclavicular joint):鎖骨肩峰端と肩峰との間。
- 機能的関節(肩甲胸郭関節):鎖骨を介して肩甲骨が胸郭上を滑走。
筋付着
- 起始する筋(鎖骨から始まる)
- 停止する筋(鎖骨で終わる)
神経支配(関連する筋を通じて)
- 副神経(XI)+頸神経叢枝(C2–C4)→ 僧帽筋
- 外側胸筋神経(C5–C7)→ 大胸筋
- 筋皮神経(C5–C7)→ 鎖骨下筋
- 副神経枝(C2・C3)→ 胸鎖乳突筋
血管との関係
- 鎖骨下動脈・静脈:鎖骨下を走行。鎖骨骨折時に損傷の危険あり。
- 胸肩峰動脈(鎖骨枝):鎖骨下筋および大胸筋上部へ分布。
臨床的意義
- 鎖骨骨折:最も頻度の高い骨折。中1/3部に多い。
- 骨折時、外側片は下方・内側片は上方へ転位(僧帽筋と胸鎖乳突筋の牽引)。
- 胸郭出口症候群:鎖骨と第1肋骨間で血管・神経が圧迫される。
- 鎖骨下筋過緊張:胸郭出口圧迫や肩甲骨の動きの制限に関与。
触診ポイント
- 鎖骨全体は皮下で明瞭に触知可能。
- 胸骨端:胸鎖関節部として、胸骨柄との間のくぼみを確認。
- 肩峰端:肩甲骨との連続を触知できる。
- 円錐結節・菱形線:外側下面にあり、圧痛点となることがある。
東洋医学的関連
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