1.筋肉の名称(和名・英名・ラテン語)
- 和名:三角筋(さんかくきん)
- 英名:Deltoid muscle
- ラテン語:Musculus deltoideus
2.起始・停止
- 起始:
- 鎖骨の外側1/3(Lateral third of clavicle)
- 肩峰(Acromion)
- 肩甲棘(Spine of scapula)
- 停止:
- 上腕骨三角筋粗面(Deltoid tuberosity of humerus)
三角筋は鎖骨・肩甲骨・上腕骨をつなぐ大きな三角形の筋で、
前部・中部・後部に分かれ、それぞれ異なる方向に上腕を動かす。
3.支配神経
- 腋窩神経(Axillary nerve, C5〜C6)
4.作用
- 前部線維:上腕の屈曲・内旋(flexion, internal rotation)
- 中部線維:上腕の外転(abduction)
- 後部線維:上腕の伸展・外旋(extension, external rotation)
上腕を約15〜90°外転させる主動筋。
初動(0〜15°)は棘上筋が担い、その後三角筋中部が働く。
5.関連する経穴
三角筋は手の陽明大腸経・手の少陽三焦経・手の太陽小腸経の経穴領域にまたがる。
「肩髃」「肩髎」「臂臑」は肩関節痛・五十肩の治療点として極めて重要。
6.臨床での関連
- 五十肩・肩関節周囲炎による運動制限
- 肩こり・肩前部の張り
- 腋窩神経損傷による筋萎縮・外転障害
- スポーツや重労働による筋過緊張・筋膜痛
- 注射部位筋(ワクチン接種などで使用)としても有名
7.臨床メモ
- 三角筋は肩関節の主動筋であり、前・中・後部線維のバランスが重要。
- 「肩髃(LI15)」「肩髎(TE14)」「臂臑(LI14)」などの経穴は、痛みの局所治療点として有効。
- 腋窩神経障害では肩外側の感覚低下と筋萎縮が見られる。
- ストレッチや軽い外転運動で肩周囲血流を促進し、可動域を維持できる。
0 件のコメント:
コメントを投稿