肩甲下動脈(Subscapular artery)まとめ

概要

肩甲下動脈は腋窩動脈第3部から分岐する動脈であり、腋窩動脈の枝の中では最も太い枝である。
主に肩甲骨周囲・肩甲下筋広背筋などへ血液を供給する。


主な分枝

①肩甲回旋動脈

肩甲三角(上腕三頭筋長頭・小円筋大円筋)を通過し、肩甲骨背面へ回り込む動脈である。

などを栄養する。

②胸背動脈

広背筋へ向かう動脈であり、広背筋の主要血管である。

などを栄養する。


肩甲骨周囲動脈吻合

肩甲下動脈は肩甲骨周囲の重要な動脈吻合に関与する。

主に次の血管と連絡する。

この動脈ネットワークにより、

などの際にも側副循環が維持される。


栄養筋

これらはすべて肩関節の安定や上肢運動に関与する重要な筋群である。


臨床的意義

肩関節疾患

肩甲下動脈の栄養領域には肩関節の安定に関与する筋群が多く含まれる。

などでは、これら筋群の循環障害が関与することがある。

肩甲骨周囲痛

棘下筋小円筋の筋緊張は

  • 肩甲骨後面痛
  • 肩後方の違和感
  • 腕の挙上時痛

などを生じる。

広背筋の役割

胸背動脈が栄養する広背筋

  • 上肢内転
  • 上肢内旋
  • 体幹安定

に関与する大きな筋であり、スポーツや姿勢維持と深く関係する。


東洋医学的関連

肩甲骨周囲と経絡

肩甲下動脈の灌流領域は、東洋医学でいう

の走行と重なる。

特に肩甲骨周囲は、東洋医学で 「気血の停滞が起こりやすい部位」とされる。

肩甲骨と背部兪穴

肩甲骨内側には

などの重要な背部兪穴が存在する。

これらは

などと関連する。


鍼灸臨床との関連

五十肩の治療

肩甲下動脈が栄養する筋群は、五十肩の原因となる筋群と重なる。

これらの筋への刺鍼は

  • 血流改善
  • 筋緊張緩和
  • 可動域改善

などの効果をもたらすと考えられる。

肩甲骨周囲の治療穴

これらの経穴は肩甲骨周囲の筋群に作用し、肩関節障害や肩背部痛の治療に用いられる。

広背筋と体幹機能

広背筋は体幹安定と深く関係するため、

  • スポーツ障害
  • 腰背部痛
  • 姿勢異常

などの治療でも重要な対象となる。


まとめ

  • 肩甲下動脈は腋窩動脈第3部から分岐する最大の枝
  • 肩甲回旋動脈と胸背動脈に分かれる
  • 肩甲骨周囲動脈吻合を形成する重要な血管
  • 腱板筋群や広背筋の血流に関与
  • 鍼灸臨床では五十肩肩甲骨周囲痛と深く関連する

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