肩甲下筋の起始・停止・作用まとめ

Subscapularis muscle animation3

1.筋肉の名称(和名・英名・ラテン語)

  • 和名:肩甲下筋(けんこうかきん)
  • 英名:Subscapularis muscle
  • ラテン語:Musculus subscapularis

2.起始・停止

  • 起始:
    • 肩甲骨肋骨面(肩甲下窩:subscapular fossa)全体
  • 停止:
肩甲下筋は肩甲骨前面(肋骨側)を覆う大きな三角形の筋で、 肩関節前方の安定を強力に担う筋肉です。

3.支配神経

  • 上肩甲下神経(upper subscapular nerve, C5・C6)
  • 下肩甲下神経(lower subscapular nerve, C5・C6)

4.作用

肩甲下筋は腱板の中で唯一の内旋筋であり、 棘上筋棘下筋小円筋と拮抗して肩関節の中心を保つ。

5.関連する経穴

肩甲下筋は手の少陰心経(極泉)手の太陰肺経(中府)の近くを通り、 肩前方~胸郭前面のこわばりや腕の挙上制限に関連する経絡上の要点である。

6.臨床での関連

  • 腱板損傷(特に上部での断裂)
  • 凍結肩(肩関節周囲炎)による内旋制限・痛み
  • 肩前面の違和感、上腕二頭筋長頭腱炎との関連
  • インナーマッスルの機能低下による肩関節不安定性
  • 肩甲下筋トリガーポイントによる前肩部・上腕前面の放散痛
肩甲下筋が短縮・過緊張すると外旋が制限され、 巻き肩・猫背姿勢・肩関節の可動域低下を招く。 鍼灸では「極泉」「中府」「雲門」などで筋緊張を緩和する。

7.臨床メモ

  • 腋窩を介して深部にあるため、触診や刺鍼は慎重に行う。
  • 外旋可動域の改善には肩甲下筋のストレッチが不可欠。
  • 肩甲骨の前傾・内転の再教育と併用することで機能回復が促進。
  • 四十肩・五十肩の初期段階での重要治療ポイント。

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