ローテーターカフまとめ

ローテーターカフは肩関節(肩甲上腕関節)を取り囲む深層筋群で、上腕骨頭を関節窩にしっかりと保持しながら回旋・安定化を行う。
主に棘上筋棘下筋小円筋肩甲下筋の4筋で構成される。


1. 構成筋(Rotator cuff muscles)


2. 起始・停止


3. 支配神経

  • 棘上筋:肩甲上神経(suprascapular nerve, C5)
  • 棘下筋:肩甲上神経(suprascapular nerve, C5–C6)
  • 小円筋:腋窩神経(axillary nerve, C5–C6)
  • 肩甲下筋:肩甲下神経(upper & lower subscapular nerves, C5–C6)

4. 作用

  • 棘上筋肩関節の外転の初期(0–15°を補助)、上腕骨頭の関節窩への安定化
  • 棘下筋肩関節の外旋、上腕骨頭の後方安定化
  • 小円筋外旋、下方・後方の安定化(棘下筋と補助的)
  • 肩甲下筋内旋の主動筋、前方の安定化(関節包と密接)
  • 全て:上腕骨頭を関節窩に引き付け、肩関節のダイナミックな安定性を提供

5. ランドマーク・触診ポイント

  • 棘上筋:肩峰内側〜肩甲上切痕付近を手で押さえると、軽い外転で緊張が触知できる(深層のため触診はやや困難)
  • 棘下筋:肩甲棘下方で筋腹が触れる。外旋で筋収縮を触れやすい
  • 小円筋:棘下筋の下方に位置し、外旋+下方への抵抗で触知可能
  • 肩甲下筋:肩甲骨前面に張る深層筋。直接触診は困難で、腋窩の前方から圧を加え運動で評価する(内旋で機能を確認)

6. 関連する経穴(東洋医学)

ローテーターカフは肩周囲の経絡(手の少陽三焦経足の少陽胆経手の陽明大腸経など)と臨床的に関連するため、経穴は症状に合わせて選択される。

7. 臨床的意義・関連症状

  • ローテーターカフ断裂(特に棘上筋腱断裂)が高齢者の肩痛・可動域制限の主要原因
  • 腱板炎(インピンジメント症候群):肩峰下での腱の擦過・腱炎による痛み、挙上時の痛み
  • 外旋筋群(棘下筋・小円筋)の弱化:肩の安定性低下と上方への代償運動
  • 肩関節前方・後方不安定性と関連することがある(特に肩甲下筋機能不全)
  • 夜間痛、仰臥位での肩痛(腱板障害の特徴)

8. 検査・評価のポイント

  • ジャクソン/ドロップアームテスト:棘上筋障害の評価(外転後にゆっくり下ろせない)
  • ホーキンス/ネアーインピンジメントテスト:肩峰下インピンジメントの評価
  • 外旋筋力測定(ER strength):棘下筋・小円筋の筋力低下の評価
  • 内旋テスト(Lift-off / Belly-press):肩甲下筋機能の評価

9. リハビリ・トレーニングと注意点

  • 段階的リハビリ:急性期は安静と疼痛管理、可動域改善 → 筋力強化(外旋筋群・内旋筋群のバランス)
  • 外旋筋(棘下筋・小円筋)強化:サイドライイング外旋、エクササイズバンドでの外旋運動
  • 肩甲帯安定化:菱形筋・僧帽筋下部・前鋸筋の同時強化
  • 過伸展や過負荷での腱板再損傷を避ける(高負荷の急激な運動は禁忌)

10. ストレッチとセルフケア

  • 肩甲骨内旋方向のストレッチ(胸郭前面の柔軟性改善)
  • スキャプラプッシュアップやバンドワークで肩甲帯安定化を図る
  • 夜間痛に対しては安楽位(枕やタオルで肩をやや前方・上方でサポート)を考慮

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