後頭動脈（occipital artery）まとめ

◆ 基本概要

後頭動脈（occipital artery）は、外頸動脈（external carotid artery）の主要分枝のひとつで、 後頭部から頭頂後部にかけての頭皮および深部組織へ血流を供給します。 後頭神経群と密接に走行するため、後頭部痛・緊張型頭痛・後頭神経痛との関連が深い動脈です。

◆ 起始と走行

後頭動脈は外頸動脈の後壁から分岐し、胸鎖乳突筋の深層を後上方へ走行します。 その後、乳様突起内側を回り込み、後頭骨下部を通過して頭皮表層へ出現し、 頭頂後部方向へ放射状に分布します。

◆ 主な分岐

• 胸鎖乳突筋枝
• 耳介枝
• 硬膜枝
• 頭皮枝（終枝）

◆ 支配領域（灌流領域）

後頭動脈は、後頭部頭皮、後頭骨周囲の筋群、深部では硬膜の一部に血流を供給します。 特に僧帽筋上部・頭板状筋・後頭下筋群周辺の循環維持に関与します。

◆ 触診ポイント

後頭結節（external occipital protuberance）や乳様突起を目安に、 その内側〜下方で拍動を触知できることがあります。 個人差は大きく、筋緊張が強い場合は触知が困難です。

◆ 臨床的重要性

• 後頭神経痛・緊張型頭痛の関連血管
• 頭皮裂傷・外傷時の出血源となりやすい
• 外頸動脈系の循環評価指標
• 後頭部筋緊張と血流低下の相互関係

◆ 東洋医学的観点

後頭動脈の走行域は、足少陽胆経・足太陽膀胱経の頭部経穴と重なります。 風池・風府・天柱など、後頭部の代表的な取穴周囲の血流理解に重要です。 後頭部の冷え、重だるさ、視覚疲労とも関連づけて考察されます。