◆ 基本概要
顔面動脈（facial artery）は、外頸動脈（external carotid artery）の主要分枝の一つで、 顔面の皮膚・表情筋・口腔周囲組織へ豊富な血流を供給する動脈です。 下顎下縁で大きく屈曲しながら顔面へ進入する特徴的な走行をもち、 触診・取穴・美容領域・歯科・口腔外科において極めて重要な血管です。
◆ 起始と走行
顔面動脈は外頸動脈から起始し、舌動脈のやや上方で分岐します。 その後、顎下腺内を前上方へ走行し、下顎骨下縁を回り込んで顔面へ出ます。 顔面部では口角・鼻翼・内眼角方向へ蛇行しながら上行し、 最終的に眼角動脈（angular artery）として終末分布します。
◆ 主な分岐
- 下行口蓋動脈（branch variationあり）
- 顎下腺枝
- 下唇動脈（inferior labial artery）
- 上唇動脈（superior labial artery）
- 外側鼻動脈（lateral nasal artery）
- 眼角動脈（angular artery）
◆ 支配領域（灌流領域）
顔面動脈は以下の領域に血流を供給します。
- 口輪筋・頬筋などの表情筋
- 上下口唇
- 鼻翼・鼻背部
- 眼角周囲皮膚
- 顔面皮膚および皮下組織
◆ 触診ポイント
顔面動脈は下顎骨下縁の前方（咬筋前縁付近）で触知可能です。 歯科・鍼灸・徒手療法において重要なランドマークとなり、 強い圧迫は避ける必要があります。
◆ 臨床的重要性
- 顔面外傷・裂傷時の出血源として重要
- 美容医療（フィラー・注射）での血管塞栓リスク
- 歯科処置・口腔外科手術時の損傷リスク
- 炎症・感染が波及しやすい血管走行
◆ 東洋医学的観点（取穴との関係）
顔面動脈は、足陽明胃経・手陽明大腸経の顔面走行部と重なる領域が多く、 以下の取穴との位置関係が重要です。
顔面の血流は、表情筋の緊張・感情表出・自律神経反応と深く関係します。
◆ 関連キーワード
- 外頸動脈分枝
- 表情筋血流
- 顔面外傷
- 美容注射リスク
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