◆ 基本概要
外頸動脈(external carotid artery)は、総頸動脈が頸部で内頸動脈と分岐した後、頭頸部の顔面・頭皮・咀嚼筋・舌・咽頭などの外表および深部構造へ血流を供給する主要動脈です。 脳を灌流する内頸動脈と対をなす存在であり、臨床・解剖・取穴理解のいずれにおいても極めて重要な血管です。
◆ 起始と走行
外頸動脈は、総頸動脈が分岐する頸動脈洞付近(おおよそ第4頸椎レベル)から起始します。 起始後は内頸動脈の前内側を上行し、途中で多数の分枝を出しながら、耳下腺内で終枝である浅側頭動脈と上顎動脈に分かれます。
◆ 主な分枝
- 上甲状腺動脈
- 舌動脈
- 顔面動脈
- 上行咽頭動脈
- 後頭動脈
- 後耳介動脈
- 浅側頭動脈(終枝)
- 上顎動脈(終枝)
◆ 支配領域(灌流領域)
外頸動脈は、脳以外の頭頸部ほぼ全域を灌流します。具体的には以下の領域が含まれます。
- 顔面皮膚および表情筋
- 咀嚼筋群
- 舌・口腔底
- 咽頭・喉頭
- 頭皮(側頭部・後頭部)
◆ 触診・確認ポイント
外頸動脈自体の直接触診は困難ですが、その分枝である顔面動脈(下顎縁)や浅側頭動脈(耳前部)は臨床で触知可能です。 これらを通じて外頸動脈系の血流状態を間接的に評価します。
◆ 臨床的重要性
- 顔面・頭皮の外傷や手術時の出血源となりやすい
- 動脈硬化や狭窄による顔面循環障害
- 顎関節症、咀嚼筋障害との関連
- 耳下腺腫瘍・頸部腫瘍による圧迫・走行変位
- カテーテル治療・塞栓術の重要血管
◆ 東洋医学的観点(取穴との関係)
外頸動脈の分枝は、人迎・扶突・下関・頬車・太陽など多くの経穴周囲を走行します。 頭頸部の経絡循環や顔面部症状(痛み、浮腫、冷え)を考える際、外頸動脈系の血流動態は重要な参考指標となります。

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