腕頭動脈(brachiocephalic artery)まとめ

◆ 基本概要

腕頭動脈(brachiocephalic artery)は、大動脈弓(aortic arch)から起始する太い動脈幹であり、右上肢と頭頚部への血流供給の基幹ルートを形成します。左右差が明確で、右側の鎖骨下動脈(subclavian artery)右総頸動脈(common carotid artery)を起始するのに対し、左側には同名の動脈幹は存在しません。


◆ 起始と走行

腕頭動脈は、大動脈弓の最も右側から起始し、気管(trachea)の前上方を右上方へ向かって走行します。その後、胸鎖関節(sternoclavicular joint)の高さ付近で右総頸動脈と右鎖骨下動脈の2本に分岐します。走行中に明確な固有分枝を出すことは少なく、主に太い輸送路として機能します。


◆ 主な分岐


◆ 支配領域(灌流領域)

腕頭動脈自体は直接末梢領域を灌流しませんが、分岐後に右の頭頚部、脳、右上肢、肩帯、胸部組織などへ血流が供給される重要ルートとなります。


◆ 触診ポイント

腕頭動脈は胸郭内深部を走るため直接触知はできません。ただし、胸鎖関節付近で右総頸動脈鎖骨下動脈に分かれる位置関係を理解すると、解剖学的イメージを明確にできます。


◆ 臨床的重要性

  • 大動脈弓部疾患(動脈瘤、解離)の評価における基幹血管として重要
  • 血行再建術やカテーテル治療の際のルートとして注目される
  • 高度な動脈硬化、血栓形成、狭窄により脳虚血や上肢虚血症状を引き起こす可能性
  • 胸郭内の腫瘍やリンパ節腫大に伴う圧迫の評価対象となる場合あり

◆ 東洋医学的観点

胸上部中央域を走行する大血管として、胸郭の気血循環や全身の活力との関連で理解されることがあります。特に頭頚部と上肢への血流動態は、これら領域の手技療法や経穴局所の反応を考察する上で参考となります。

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