外側足根動脈（lateral tarsal artery）まとめ

◆ 基本概要

外側足根動脈（lateral tarsal artery）は、足背動脈（dorsalis pedis artery）の主要分枝のひとつであり、足根部外側を走行して足背外側領域および周囲筋組織へ血流を供給する動脈です。特に、短趾伸筋（extensor digitorum brevis）や短母趾伸筋（extensor hallucis brevis）と密接な位置関係をもつ点が特徴的です。

◆ 走行

外側足根動脈は、足背動脈から分岐後、短趾伸筋の深層を外側方向へ走り、足根部外側に達します。その過程で複数の分枝を出し、短趾伸筋や隣接する骨構造（立方骨など）周囲の組織へ広く血流を供給します。また、足底側の動脈網とも吻合し、足部の血行ネットワーク形成に寄与します。

◆ 主な分岐

• 短趾伸筋および短母趾伸筋への筋枝
• 足根部外側領域の小動脈群
• 足底動脈との吻合枝（区域に応じて変異あり）

◆ 支配領域（灌流領域）

主に足背外側領域と短趾伸筋を含む筋群へ灌流し、足部外側の機能および安定性を支えます。周辺の腱、筋膜、骨膜にも微小循環を提供します。

◆ 触診ポイント

外側足根動脈は比較的深層を走行するため、直接的な触診は困難ですが、短趾伸筋の外側縁をガイドとして位置関係を把握できます。また、足背動脈の外側走行を辿ることでおおよそのルートを推察可能です。

◆ 臨床的重要性

• 足部外傷、特に足根部外側の骨折や挫傷で血行障害を起こす可能性
• 動脈炎、血栓などの循環障害による足背領域の症状評価
• 手術（特に足趾・足根手術）における血行維持の指標

◆ 東洋医学的観点

外側足根動脈は足背動脈系との連続性から、足背部の経絡循環を理解するうえで参考となります。特に足陽明胃経・足少陽胆経の通過領域と隣接しており、外側足背部の循環障害が関連症状の指標となる場合があります。