足背動脈(Dorsalis pedis artery)まとめ

概要

足背動脈は下肢の末梢に位置し、足背(足の甲)で触れる重要な動脈です。糖尿病、末梢循環障害、動脈硬化の診察指標として臨床的価値が高い血管です。


起始・走行

  • 前脛骨動脈足関節の前方を通過して足背に移行したもの。
  • 足背中央を走り、第一趾間隙へ向かう(第一背側中足動脈を形成)
  • 途中で足背動脈弓・足底への血流にも関与する。

触診ポイント

  • 長母趾伸筋腱と長趾伸筋腱の間(足背中央付近)。
  • 足関節よりやや遠位(つま先側)で触れやすい。
  • 浮腫や末梢循環障害があると触れにくくなる。
  • 左右差の比較が重要。

臨床的意義

  • 末梢循環の評価: 糖尿病・PAD(末梢動脈疾患)など。
  • 動脈硬化の進行指標: 脈の強弱・有無で判断。
  • 手術・創傷治療の評価: 足潰瘍や壊疽のリスク判断。
  • 冷え症との関連評価: 東洋医学的にも応用可能。

関連疾患

  • 閉塞性動脈硬化症(ASO)
  • 糖尿病性末梢血流障害
  • バージャー病(TAO)
  • 冷え症(循環障害と関連)

ABI検査(コラム)

足背動脈や後脛骨動脈の血圧と上腕の血圧を比較し、下肢動脈狭窄の程度を評価する指標。末梢循環障害の診断に用いる。


要点まとめ

項目要点
起始前脛骨動脈 → 足背動脈
触診部位長母趾伸筋腱と長趾伸筋腱の間
臨床的重要性末梢循環評価の代表部位
主要疾患ASO、糖尿病、バージャー病


東洋医学的関連

足背は足の陽明胃経足の少陽胆経と関連し、末梢冷えや痛み、しびれの評価に応用される。足背動脈の触診は、気血の巡り・末端の冷えの解釈に役立つ。

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