概要
総頸動脈は、頭頸部に血液を送る最も重要な主幹動脈であり、内頸動脈と外頸動脈へ分岐して脳や顔面・頸部臓器を栄養します。右と左で起始が異なることが特徴です。
起始
| 側 | 起始部位 |
|---|---|
| 右総頸動脈 | 腕頭動脈から分岐 |
| 左総頸動脈 | 大動脈弓から直接分岐 |
走行
- 胸郭上口から上行し、胸鎖乳突筋の深部を通る。
- 頸動脈三角にて拍動しやすい位置に達する。
- 第4頸椎の高さ(甲状軟骨上縁)で、内頸動脈と外頸動脈に分岐。
分岐
総頸動脈は直接の分枝を持たない。分岐後、以下の2本に分かれる。
- 内頸動脈:脳、眼球、頭蓋内へ血流を供給。
- 外頸動脈:顔面、頭皮、頸部臓器(咽頭・喉頭・甲状腺)へ血流を供給。
栄養領域(結果として)
- 内頸動脈:脳・頭蓋内組織・眼球
- 外頸動脈:顔面皮膚、頭皮、表情筋、咽頭・喉頭・甲状腺など
臨床的意義
- 頸動脈洞:内頸動脈起始部の圧受容器。過度の圧刺激で徐脈・失神を誘発。
- 頸動脈小体:血中酸素・CO2・pHに反応する化学受容器。呼吸調節に関与。
- 動脈硬化の好発部位:分岐部にプラークが形成されやすく、脳梗塞の主要原因となる。
- 触診部位として重要:頸動脈三角で強い拍動を触れる。過度の圧迫は危険。
- 超音波(エコー)検査の中心:頸動脈エコーは脳梗塞リスクの評価に用いられる。
触診ポイント
- 顎角の下、胸鎖乳突筋の前縁(頸動脈三角)で触れる。
- 強く押さえないこと(頸動脈洞反射による失神リスク)。
関連疾患
- 動脈硬化性狭窄・閉塞
- 頸動脈プラークによる脳梗塞
- 動脈解離
- 頸動脈洞過敏症
要点まとめ
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 起始 | 右:腕頭動脈、左:大動脈弓 |
| 分岐 | 内頸動脈と外頸動脈へ |
| 臨床 | 頸動脈洞、動脈硬化、脳梗塞リスク、触診注意 |

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