脛骨(Tibia)の特徴と筋付着部
骨の名称
- 和名:脛骨(けいこつ)
- 英名:Tibia
- ラテン名:Tibia
分類
概要
- 下腿内側に位置し、体重を主に支持する骨。
- 大腿骨と距骨を連結し、膝関節・足関節の主要な構成要素。
- 腓骨とともに下腿を形成し、脛骨の外側に腓骨が平行して走る。
- 上端は大腿骨下端と膝関節を形成し、下端は距骨と足関節を形成する。
形態・ランドマーク
- 上端(近位端)
- 内側顆・外側顆(medial / lateral condyle):大腿骨下端と関節し、半月板を介して膝関節を構成。
- 脛骨粗面(tibial tuberosity):膝蓋靱帯が付着する隆起部。
- 顆間隆起(intercondylar eminence):内外顆間の隆起で、前・後十字靱帯および半月板角部が付着。
- 脛骨後面(posterior surface):膝窩筋が起始する。
- 骨幹(shaft)
- 三角柱状で、前縁(すねの部分)は皮下に露出し触診しやすい。
- 内側面は広く平坦で、皮下骨として明瞭。
- 外側面には前脛骨筋や長趾伸筋が付着。
- 後面上方にはヒラメ筋線(soleal line)があり、ヒラメ筋が起始。
- 下端(遠位端)
- 内果(medial malleolus):足関節内側の骨性隆起。
- 距骨滑車面(talarticular surface):距骨滑車と関節を形成。
- 腓骨切痕(fibular notch):腓骨遠位端と下脛腓関節を形成。
構成関節
- 膝関節(knee joint):大腿骨と脛骨顆の間に形成。
- 上脛腓関節(superior tibiofibular joint):腓骨頭との関節。
- 下脛腓関節(inferior tibiofibular joint):腓骨遠位端との靱帯結合。
- 足関節(talocrural joint):距骨滑車と距骨滑車面・内果・外果で構成。
筋付着
神経支配(関連筋を通じて)
- 大腿神経(L2〜L4):大腿四頭筋
- 坐骨神経(L4〜S3)→ 脛骨神経・腓骨神経に分岐
- 脛骨神経(L4〜S3):ヒラメ筋・後脛骨筋・長趾屈筋など
- 深腓骨神経(L4〜S2):前脛骨筋・長趾伸筋など
血管との関係
- 膝下では膝窩動脈が前・後脛骨動脈に分かれ、脛骨を栄養する。
- 前脛骨動脈:骨間膜前方を下降し、前脛骨筋・伸筋群へ。
- 後脛骨動脈:骨後面を下降し、ヒラメ筋・後脛骨筋へ。
- 脛骨栄養動脈:後脛骨動脈から分枝し、骨髄に入る。
臨床的意義
- 脛骨骨折:下腿骨折で最も頻発。前縁皮下にあるため開放骨折となりやすい。
- 脛骨疲労骨折:ランナーや軍人に多く、「シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)」と関連。
- 脛骨顆部骨折:膝関節内骨折で、半月板・靱帯損傷を伴うことが多い。
- 内果骨折:足関節捻挫・外反力による損傷。
- O脚(内反膝)・X脚(外反膝):脛骨の軸変形が関与。
触診ポイント
- 脛骨粗面:膝蓋骨の下、膝蓋靱帯をたどると触知。
- 脛骨前縁:皮下に露出しており、「すね」として容易に触れる。
- 内果:足関節内側の明瞭な骨隆起。
- 鵞足部:膝内側下方に触れる軟部組織隆起。
東洋医学的関連
0 件のコメント:
コメントを投稿