踵骨(Calcaneus)の特徴と筋付着部

Calcaneus animation01

概要

踵骨足根骨の中で最大の骨で、かかとを形成します。荷重のほとんどを受け止める重要な骨であり、立位・歩行・走行の基盤となります。上には距骨が乗り、前方は立方骨と接して足部アーチを支えます。



ランドマーク

  • 踵骨隆起(Calcaneal tuberosity):アキレス腱が付着する後上部の強大な突起
  • 載距突起(Sustentaculum tali):内側に張り出した板状突起で、距骨を支える重要構造
  • 外側突起(Peroneal tubercle):短腓骨筋腱の走行を分ける外側の突起
  • 距骨関節面(後・中・前):距骨との関節を形成する3つの関節面
  • 立方骨関節面:前方で立方骨との連結に関わる面


付着する筋(起始・停止)



構成する関節



関連する靭帯

  • 距踵間靭帯:距骨下関節の安定性に重要
  • 踵立方靭帯:外側縦アーチを支える
  • 足底踵舟靭帯(Spring ligament):土踏まずの保持に重要
  • 長足底靭帯:外側アーチを支持
  • アキレス腱:踵骨隆起に停止し重要な張力要素


隣接する骨



触診ポイント

  • 後方から触れると踵骨隆起は明瞭で、アキレス腱の停止部として判断しやすい。
  • 内側から足根部を触れると、母趾側に固く突出した載距突起を確認できる。
  • 外側から触診すると、長腓骨筋短腓骨筋の腱を分ける外側突起(腓骨筋支帯のランドマーク)を触れる。
  • 足底の踵寄り中央は踵骨隆起下面で、足底筋や短趾屈筋の緊張を評価する際に有用。


東洋医学的関連

  • 経穴:崑崙(BL60)申脈(BL62)僕参(BL59)など、膀胱経の要穴が周囲に集中。
  • 経絡との関連:膀胱経は足外側後面を通り、踵部で特に気血の停滞が起こりやすい部位とされる。
  • 古典的考え方:踵部の痛み(足底腱膜炎様痛・アキレス腱付着部痛など)は「腎虚」や「膀胱経の瘀滞」と関連付けられることがある。
  • 臨床応用:足底・踵周囲の硬結は下肢全体の経絡緊張(特に膀胱経)評価に使われる。

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