足根骨(Tarsal bones)の特徴と筋付着部

Tarsal bones - animation01

骨の名称

  • 和名:足根骨(そっこんこつ)
  • 英名:Tarsal bones
  • ラテン名:Ossa tarsi

分類

  • 短骨(短小で立体的な骨)
  • 足部の後方に位置し、体重を支え、歩行時の衝撃を分散する役割を持つ。

概要

  • 足根骨は全7個の骨で構成される。
  • 近位列に 距骨(talus)踵骨(calcaneus)、遠位列に 舟状骨(navicular)立方骨(cuboid)、および 3つの楔状骨(cuneiform bones) が並ぶ。
  • 足の縦・横アーチ形成に重要な役割を果たす。

構成骨とランドマーク

  • ① 距骨(Talus)
    • 脛骨・腓骨と関節して足関節(距腿関節)を形成。
    • 体重を脛骨から踵骨へ伝える。
    • 距骨滑車(trochlea tali):脛骨下端と関節する部分。
    • 距骨頭(head):舟状骨と関節。
    • 距骨頸(neck):距骨体と頭の間で、血行障害が起こりやすい部位。
  • ② 踵骨(Calcaneus)
    • 足根骨中最大の骨で、足底の最下部に位置。
    • 踵骨隆起(calcaneal tuberosity):アキレス腱の付着部。
    • 距骨支持突起(sustentaculum tali):距骨を下方から支える突起。
    • 距骨・立方骨と関節し、距踵関節・踵立方関節を形成。
  • ③ 舟状骨(Navicular)
    • 足の内側に位置し、距骨頭と楔状骨群の間にある。
    • 舟状骨粗面(tuberosity of navicular):後脛骨筋が停止。
    • 縦アーチ形成に重要。
  • ④ 立方骨(Cuboid)
    • 足の外側にあり、踵骨と第4・第5中足骨をつなぐ。
    • 腓骨筋溝(groove for fibularis longus):長腓骨筋腱が通過。
  • ⑤ 楔状骨(Cuneiform bones)
    • 内側楔状骨(medial cuneiform)
    • 中間楔状骨(intermediate cuneiform)
    • 外側楔状骨(lateral cuneiform)
    • 舟状骨と第1〜第3中足骨の間に位置し、横アーチ形成に寄与。

構成関節

  • 距腿関節(足関節):脛骨・腓骨と距骨の間。
  • 距踵関節(subtalar joint):距骨と踵骨の間で、回内・回外運動を担う。
  • 距踵舟関節(talocalcaneonavicular joint):足の柔軟な回旋を可能にする。
  • 踵立方関節(calcaneocuboid joint):足外側アーチ形成に重要。
  • 楔舟関節(cuneonavicular joint):足の内側アーチを支える。
  • 楔立方関節(cuneocuboid joint):足根遠位部の安定性に寄与。

筋付着


神経支配(関連筋を通じて)

  • 脛骨神経(L4〜S3):後脛骨筋・長趾屈筋など
  • 深腓骨神経(L4〜S2):前脛骨筋・長趾伸筋など
  • 浅腓骨神経(L5〜S2):長短腓骨筋など

血管との関係

  • 後脛骨動脈:踵骨・舟状骨・楔状骨などを栄養。
  • 前脛骨動脈(→足背動脈):距骨・立方骨・楔状骨へ分布。
  • 腓骨動脈:踵骨外側部を栄養。

臨床的意義

  • 距骨骨折:血流障害により壊死を起こしやすい(距骨頸骨折)。
  • 踵骨骨折:高所からの転落で多発、足底の高さ低下(Böhler角の減少)。
  • 舟状骨疲労骨折:ランナーに多く、足内側痛の原因。
  • 立方骨症候群:長腓骨筋の牽引で立方骨が微脱臼し、外側足痛を生じる。
  • 偏平足:舟状骨下垂や後脛骨筋機能低下が原因。
  • 足根管症候群:内果後方で脛骨神経が圧迫される。

触診ポイント

  • 距骨頭:内果前下方で触知。
  • 踵骨隆起:足底後方に明瞭に触れる。
  • 舟状骨粗面:内果のやや前方、脛骨内縁に沿って触れる。
  • 立方骨:外側縦アーチの中央付近で、長腓骨筋溝の下方。
  • 内側楔状骨:第1中足骨基部の近位で触れる。

東洋医学的関連

  • 関連経絡:足の太陰脾経、足の少陰腎経、足の厥陰肝経。
  • 代表的経穴:太白(SP3)公孫(SP4)照海(KI6)太谿(KI3)太衝(LR3)
  • 照海(KI6):内果の下方に位置し、足根管部の脛骨神経分枝と近接。生殖器系や咽喉の症状に効果。
  • 太白・公孫:足内側楔状骨・舟状骨付近にあり、脾経の要穴として消化・循環を整える。
  • 足根骨部は「腎」「脾」と関係し、冷えや浮腫、下肢のだるさなどの治療点が集中する。

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