中足骨(Metatarsal bones)の特徴と筋付着部

Metatarsal bones - animation01

骨の名称

  • 和名:中足骨(ちゅうそくこつ)
  • 英名:Metatarsal bones
  • ラテン名:Ossa metatarsalia

分類

  • 長骨(足根骨と趾骨の間を連結する細長い骨)
  • 足部の縦・横アーチを形成し、体重の伝達と歩行バランスに関与。

概要

  • 中足骨は全部で5本あり、内側(母趾側)から第1〜第5中足骨と呼ぶ。
  • それぞれが足根骨と基部で関節し、遠位端で近位趾骨と関節する。
  • 足の長軸を構成し、歩行時の蹴り出しや衝撃吸収に重要な役割を担う。

形態・ランドマーク

  • 各中足骨の構造:
    • 基部(base):足根骨と関節する近位端。
    • 骨体(shaft):細長い中央部。足背側が凸形、足底側が凹形。
    • 骨頭(head):近位趾骨と関節する遠位端で、歩行時に床に接する。
  • 特徴的ランドマーク:
    • 第1中足骨:最も太く短い。内側楔状骨と関節し、底側に種子骨が存在。
    • 第2中足骨:最も長い。中間楔状骨と関節し、くさび状に嵌入して安定性を高める。
    • 第5中足骨:基部外側に粗面(tuberosity)があり、短腓骨筋が停止。

構成関節

  • 足根中足関節(tarsometatarsal joints):足根骨(楔状骨・立方骨)と中足骨基部の間。
  • 中足間関節(intermetatarsal joints):隣接する中足骨基部同士を連結。
  • 中足趾節関節(metatarsophalangeal joints):中足骨頭と近位趾骨基部との関節。

筋付着

  • 起始する筋:
    • 背側骨間筋(各中足骨間の背側面)
    • 底側骨間筋(各中足骨間の底側面)
    • 母趾内転筋(第2〜第4中足骨基部)
    • 小趾対立筋(第5中足骨体)
  • 停止する筋:

神経支配(関連筋を通じて)

  • 脛骨神経(L4〜S3):後脛骨筋、足底筋群。
  • 浅腓骨神経(L5〜S2):長・短腓骨筋、足背筋群の一部。
  • 深腓骨神経(L4〜S2):前脛骨筋、長趾伸筋、短趾伸筋。

血管との関係

  • 足背動脈 → 弓状動脈(arcuate artery)→ 背側中足動脈に分枝。
  • 後脛骨動脈 → 足底動脈弓(plantar arch)→ 足底中足動脈を分枝。
  • 中足骨周囲に豊富な動静脈網が形成され、骨膜・筋付着部を栄養。

臨床的意義

  • 中足骨疲労骨折:マラソンやバレエなどで多く、第2・第3中足骨に好発。
  • Jones骨折:第5中足骨基部の骨折。血流が乏しく癒合遅延を起こしやすい。
  • マーチ骨折:軍人骨折とも呼ばれる中足骨疲労骨折の一種。
  • 外反母趾:第1中足骨の内反と母趾外転により生じる変形。
  • モートン神経腫:第3・第4中足骨間の神経圧迫による疼痛。
  • 偏平足:第1中足骨下垂と舟状骨下垂により縦アーチが低下。

触診ポイント

  • 第1中足骨基部:内側足縁の突出部(長腓骨筋停止部)。
  • 第5中足骨粗面:外側足縁に触れる隆起、短腓骨筋停止部。
  • 中足骨頭:足のボール部分(踏み返し時に体重がかかる)。
  • 第2中足骨頭:背側からも容易に触知可能。

東洋医学的関連

  • 関連経絡:足の太陰脾経、足の少陰腎経、足の厥陰肝経。
  • 代表的経穴:太白(SP3)公孫(SP4)太衝(LR3)行間(LR2)
  • 太白(SP3):第1中足骨頭の遠位に位置し、脾経の原穴。気血を補い、消化・代謝を助ける。
  • 公孫(SP4):第1中足骨基部内側、脾経と衝脈の交会穴。胃腸・生殖系の調整に用いる。
  • 太衝(LR3):第1・第2中足骨間の背側。肝経の原穴で、ストレス緩和や循環促進に有効。
  • 中足部は「脾」「肝」「腎」のエネルギー経路が交差する場所であり、歩行・姿勢・感情バランスに深く関係する。

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