ハムストリングスまとめ

ハムストリングスは大腿後面を構成する3つ（大腿二頭筋は長頭・短頭を含む）の筋の総称です。主に膝関節屈曲・股関節伸展に関与し、歩行・走行・ジャンプなど下肢運動の基盤となります。

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1. 構成筋

• 大腿二頭筋（Biceps Femoris）
  • 長頭（Long head）
  • 短頭（Short head）
• 半腱様筋（Semitendinosus）
• 半膜様筋（Semimembranosus）

2. 起始

• 大腿二頭筋
  
  • 長頭：坐骨結節
  • 短頭：大腿骨粗線・外側顆上線
• 半腱様筋：坐骨結節
• 半膜様筋：坐骨結節

3. 停止

• 大腿二頭筋：腓骨頭
• 半腱様筋：脛骨粗面内側（鵞足）
• 半膜様筋：脛骨内側顆後部

4. 支配神経

• 大腿二頭筋
  • 長頭：坐骨神経（脛骨神経成分）
  • 短頭：坐骨神経（総腓骨神経成分）
• 半腱様筋：坐骨神経（脛骨神経成分）
• 半膜様筋：坐骨神経（脛骨神経成分）

5. 作用

共通の主な作用

• 膝関節の屈曲
• 股関節の伸展（大腿二頭筋短頭を除く）
• 下腿の内旋（半腱様筋・半膜様筋）
• 下腿の外旋（大腿二頭筋）

筋別の作用

• 大腿二頭筋：膝屈曲＋下腿外旋、長頭は股伸展
• 半腱様筋：膝屈曲＋下腿内旋、股伸展
• 半膜様筋：膝屈曲＋下腿内旋、股伸展

6. ランドマーク・触診ポイント

• 大腿二頭筋：大腿後面外側の表層、膝外側の腱が触れやすい
• 半腱様筋：膝内側後方で触れる細い腱（鵞足の構成）
• 半膜様筋：半腱様筋の深層で幅広い腱を触診可能

7. トリガーポイント（関連痛）

• 大腿二頭筋：大腿外側～膝外側に関連痛
• 半腱様筋・半膜様筋：大腿内側～膝内側に関連痛、下腿内側まで放散することも
• 坐骨神経痛との鑑別が必要なケースも多い

8. 東洋医学的関連（経絡・経穴）

• 足の太陽膀胱経：大腿後面を走行し、ハムストリングスと深く関係
• 足の少陽胆経：大腿外側に沿い、大腿二頭筋外側部と関係
• 足の太陰脾経：膝内側の鵞足部と関係（半腱様筋）

考えられる証

• 膀胱経の気滞：腰背部痛・坐骨神経痛様症状
• 脾虚：膝の不安定感・倦怠
• 血瘀：筋硬結、肉離れ、回復遅延

9. 日常動作・臨床でのポイント

• 肉離れの好発筋（特に大腿二頭筋）
• 長時間座位で短縮→骨盤後傾を招き腰痛の原因に
• スポーツパフォーマンスに直結（スプリント・ジャンプ）
• 鵞足炎の原因として半腱様筋の過緊張も多い

10. ストレッチとエクササイズ例

ストレッチ

• 立位前屈
• 仰臥位タオルストレッチ
• 坐位長座前屈

エクササイズ

• ノルディックハムストリング
• ルーマニアンデッドリフト（RDL）
• ヒップヒンジ系トレーニング