恥骨(Pubis)の特徴と筋付着部

Pubis 02 animation

骨の名称

  • 和名:恥骨
  • 英名:Pubis
  • ラテン名:Os pubis

分類

  • 扁平骨寛骨の前下部を構成)

概要

  • 寛骨の前下部を形成し、腸骨坐骨とともに寛骨臼を構成する。
  • 左右の恥骨は正中線で線維軟骨性の恥骨結合(pubic symphysis)を形成。
  • 骨盤の前壁を構成し、内臓(膀胱・尿道・性器)を保護する。
  • 歩行時には体幹と下肢を連結し、股関節の安定性に寄与する。

形態・ランドマーク

  • 恥骨体(body of pubis):正中で恥骨結合を形成する部分。
  • 上枝(superior ramus)腸骨坐骨を連結し、寛骨臼上縁を構成。
  • 下枝(inferior ramus)坐骨枝と合して坐骨恥骨枝となり、閉鎖孔を形成。
  • 恥骨結節(pubic tubercle):恥骨上縁の外側端で、鼠径靱帯が付着。体表から触知可能。
  • 恥骨櫛(pecten pubis):恥骨上枝内側縁。腸恥靱帯や腹壁筋群が付着。
  • 恥骨稜(pubic crest):恥骨結節から正中へ延びる部分。

構成関節


靱帯付着

  • 上恥骨靱帯(superior pubic ligament)
  • 弓状恥骨靱帯(arcuate pubic ligament)
  • 鼠径靱帯(inguinal ligament:恥骨結節に停止)
  • 腸恥靱帯(iliopectineal ligament:恥骨櫛に付着)
  • 閉鎖膜(obturator membrane:閉鎖孔を閉鎖)

筋付着


神経支配(関連筋を通じて)


血管との関係

  • 閉鎖動脈・静脈(obturator vessels):閉鎖孔を通過。
  • 外陰部動脈・下膀胱動脈:恥骨枝を分枝して周囲筋に分布。
  • 外腸骨動脈は恥骨上縁近くを通過し、鼠径靱帯下で大腿動脈に移行。

臨床的意義

  • 恥骨結合離開:出産や外傷によって左右の恥骨が離開し疼痛を伴う。
  • 恥骨骨炎(osteitis pubis):スポーツ選手に多く、恥骨結合部の炎症で慢性疼痛を生じる。
  • 鼠径部痛症候群:恥骨結節周囲の筋付着部炎による痛み。
  • 骨盤底筋障害:恥骨下枝に付着する筋の弛緩が尿失禁や骨盤臓器脱に関与。

触診ポイント

  • 恥骨結節:下腹部中央の皮下に触知可能(恥骨上縁)。
  • 恥骨結合:恥骨稜正中でわずかに凹みとして触れられる。
  • 恥骨上枝:鼠径靱帯直下に沿って走行する。

東洋医学的関連


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