恥骨結合の特徴と関連する経穴・臨床ポイント

概要

恥骨結合は、左右の恥骨が正中で連結する線維軟骨性の結合(骨結合)であり、骨盤の前方を構成する。
可動性は小さいが、歩行時や体幹のねじれ動作で微小な動きを見せる。妊娠・分娩期にはホルモンの影響で緩み、骨盤の可動性が増す。


分類

  • 線維軟骨性結合(軟骨結合)

関節を構成する骨


構造

  • 恥骨間円板(線維軟骨)が左右の恥骨を連結
  • 上部:上恥骨靭帯
  • 下部:弓状(恥骨下)靭帯(非常に強固)

運動

可動性は小さく、以下のわずかな動きがみられる。

  • わずかな滑り・離開
  • 上下のわずかな回旋

妊娠末期〜分娩時はリラキシン作用により離開が増える。


触診ポイント

  • 恥骨結節上を丁寧に触診して位置や圧痛を確認
  • 左右の高さ・前後差を比較(骨盤のゆがみの指標)
  • 産後の恥骨離開では強い圧痛と可動痛がみられる

臨床的重要性

  • 骨盤前面の安定性を担う中心構造
  • 恥骨結合離開(妊娠・出産関連の障害)
  • スポーツヘルニア(グロインペイン症候群)の原因のひとつ
  • 片側荷重姿勢やランニングで負担が増す
  • 骨盤輪の強固さの検査指標(外傷時)

東洋医学的関連

恥骨周囲は「任脈」「肝経」「腎経」「足の太陰脾経」などが交わる部位であり、下腹部・泌尿生殖器症状と関連が深い。

関連する経絡
  • 任脈(正中を通り、生殖・婦人科と密接)
  • 肝経(下腹部や生殖器の気血調整)
  • 腎経(腎は「生殖」を司る)
  • 脾経(骨盤の支持と関連)
関連する代表的な経穴 鍼灸の臨床応用
  • 恥骨結合離開・産後の骨盤痛の治療
  • 鼠径部痛・スポーツヘルニア
  • 下腹部の冷え、月経痛、不妊症への応用
  • 泌尿器症状(頻尿・膀胱炎など)
  • 任脈を整え、骨盤の安定を促す施術

国家試験で重要なポイント

  • 分類:線維軟骨性結合
  • 恥骨間円板の存在
  • 上恥骨靭帯・弓状靭帯が強固
  • 妊娠末期で離開が増える(リラキシン)

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