仙腸関節(SI関節)の特徴と関連する経穴・臨床ポイント

概要

仙腸関節は、仙骨寛骨(腸骨)との間に形成される関節で、左右に一対存在する。
関節面は不規則な凹凸を持ち、強靭な靭帯により強固に固定されており、可動性は極めて小さい。主に体重支持と衝撃吸収の役割を担う。


分類

  • 前方:滑膜性関節(平面関節)
  • 後方:結合(靭帯)結合

関節を構成する骨


主な靭帯

  • 前仙腸靭帯
  • 後仙腸靭帯
  • 骨間仙腸靭帯(最強靭帯)
  • 仙結節靭帯
  • 仙棘靭帯
  • 腸腰靭帯

運動

可動性は小さいが、以下の微小運動がみられる。

  • ニューテーション(仙骨が前傾)
  • カウンターニューテーション(仙骨が後傾)
  • 微小なすべり運動

触診ポイント

  • 上後腸骨棘(PSIS)をランドマークに、その内側や下方に関節裂隙が位置する。
  • 仙結節靭帯や仙棘靭帯の緊張を診ることで、機能障害の判断材料になる。
  • 片脚立位や前屈動作で痛みが誘発されることが多い。

臨床的重要性

  • 腰痛の主要原因の1つ(仙腸関節障害)
  • 妊娠期のホルモン変化により緩みやすい
  • 長時間の片足荷重や不良姿勢で負担が増加
  • 下肢痛(坐骨神経痛様症状)を模倣することがある

東洋医学的関連

仙腸関節は腰部・骨盤の要であり、東洋医学では以下の経絡や経穴と深く関係する。

関連する経絡
  • 膀胱経(腰背部を流れるため最も関連)
  • 胆経(骨盤外側の安定性と関わる)
  • 督脈(脊柱と骨盤の中心軸)
  • 腎経(腎は「骨を主る」)
関連する代表的な経穴 鍼灸の臨床応用
  • 仙腸関節性腰痛の治療(BL31〜BL34への刺鍼)
  • 臀部筋の緊張緩和(特に梨状筋・大臀筋)
  • 下肢の痺れ・放散痛へのアプローチ(GB30など)
  • 骨盤のゆがみ・姿勢不良の改善
  • 産後腰痛への応用

国家試験で重要なポイント

  • 関節の分類:前方は滑膜性、後方は靭帯結合
  • 可動性は小さいが体重支持の要
  • 強力な靭帯群が特徴(特に骨間仙腸靭帯)
  • 妊娠で緩みやすい

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