腹直筋の起始・停止・作用まとめ

1.筋肉の名称(和名・英名・ラテン語)

  • 和名:腹直筋(ふくちょくきん)
  • 英名:Rectus abdominis muscle
  • ラテン語:Musculus rectus abdominis

2.起始・停止

  • 起始:
    • 恥骨稜(pubic crest)
    • 恥骨結合(pubic symphysis)
  • 停止:
    • 第5〜第7肋軟骨
    • 剣状突起(xiphoid process)
腹直筋は体幹前面を縦に走行する長大な筋で、左右1対。 筋腹は腱画(けんか)によって3〜4区画に分けられ、これが「シックスパック」を形成する。 前面は腹直筋鞘(rectus sheath)に包まれている。

3.支配神経

  • 肋間神経(T7〜T12)
  • 腸下腹神経(T12)

4.作用

  • 体幹の前屈(脊柱の屈曲)
  • 骨盤の後傾
  • 腹圧の上昇(排便・排尿・分娩などを補助)
  • 呼気の補助(強制呼気時に働く)
腹直筋は体幹屈筋群の中心であり、姿勢保持・呼吸補助・腹腔内圧の調整に関与する。 深層では外腹斜筋腹横筋と連携して体幹の安定性を保つ。

5.関連する経穴

腹直筋の上を任脈足の陽明胃経が走行する。 消化器系・婦人科系・自律神経系の調整に重要な経穴が多く分布している。

6.臨床での関連

  • 腹部の緊張・違和感・みぞおち痛
  • 腰痛(腹筋群の弱化による体幹不安定)
  • 猫背・反り腰の姿勢異常
  • 過度な筋トレや腹圧上昇による腹直筋離開
  • ストレス性の胃腸不調や呼吸の浅さ

7.臨床メモ

  • 腹直筋は体幹前面の中心軸であり、背部筋群と拮抗して姿勢を保つ。
  • 緊張が強いと内臓下垂や胃の圧迫を起こしやすい。
  • 「中脘」「天枢」などの経穴で消化器・自律神経の調整に有効。
  • 呼吸運動・骨盤傾斜の改善を目的にした鍼灸・整体アプローチが有効。

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