1.筋肉の名称(和名・英名・ラテン語)
- 和名:腰方形筋(ようほうけいきん)
- 英名:Quadratus lumborum muscle
- ラテン語:Musculus quadratus lumborum
2.起始・停止
- 起始:
- 腸骨稜(iliac crest)
- 腸腰靱帯(iliolumbar ligament)
- 停止:
- 第12肋骨(第12肋骨下縁)
- 第1〜第4腰椎横突起(transverse processes of L1–L4)
腰方形筋は腰部深層の最も後方・内側に位置し、腹腔の後壁を形成する。
大腰筋の外側にあり、腹横筋の深層に包まれるように走行する。
3.支配神経
4.作用
- 片側収縮:同側の体幹側屈(体を横に倒す)
- 両側収縮:腰椎の伸展・体幹の安定化
- 第12肋骨を固定(吸気時の安定化)
腰方形筋は体幹を安定させるインナーマッスルであり、呼吸時には肋骨を引き下げる。
また、座位・立位・歩行時に骨盤を水平に保つ働きを持つ。
5.関連する経穴
腰方形筋の表層には足の太陽膀胱経が走行し、腎・腰部・下肢の機能と関連。
特に「腎兪」「志室」「京門」は、腰痛や疲労、泌尿・生殖機能に深く関与する要穴である。
6.臨床での関連
- 慢性腰痛(特に片側性の腰痛)
- 骨盤の左右不均衡(片側の過緊張)
- 立ち仕事・座位姿勢による筋疲労
- 腰椎側弯症の補正筋としての緊張
- 腎臓・泌尿器系の反射的緊張
7.臨床メモ
- 腰方形筋は「隠れ腰痛筋」とも呼ばれ、慢性腰痛の原因となることが多い。
- 腎兪〜志室ラインの圧痛・硬結は腎虚や疲労の指標になる。
- 鍼灸では「腎兪」「志室」「京門」に加え、「大腸兪」「気海兪」などと併用して施術。
- 体幹の安定性を改善する際は、腹横筋・多裂筋とともに評価・調整するのが効果的。
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