鼻筋の起始・停止・作用まとめ

Nasalis muscle animation

1.名称(和名・英名・ラテン語)

  • 和名:鼻筋
  • 英名:Nasalis muscle
  • ラテン語:Musculus nasalis
鼻筋は鼻の中央部(鼻背)に位置する表情筋で、 鼻翼や鼻孔の開閉、鼻背の動きを担う。 主に横部(transverse part)翼部(alar part)の2部から成る。

2.構成・区分

  • 横部(pars transversa):鼻背の中央部に位置し、鼻孔を狭める作用。
  • 翼部(pars alaris):鼻翼の下方に位置し、鼻孔を広げる作用。
両部は連続的に存在し、呼吸や表情に応じて協調的に働く。 横部は「鼻孔を閉じる」方向に、翼部は「鼻孔を開く」方向に作用する。

3.起始・停止

  • 起始:上顎骨の犬歯窩(canine fossa)付近
  • 停止:
    • 横部:鼻背の正中線で反対側筋と交わる(鼻根部)
    • 翼部:鼻翼の皮膚および外鼻軟骨
起始は上顎骨の外側、停止は鼻の中央部や翼部皮膚へ広がる。 これにより鼻孔や鼻翼の形状を動かし、呼吸や表情に関与する。

4.支配神経

  • 顔面神経(第VII脳神経) 頬骨枝・上唇枝
他の表情筋と同様、顔面神経支配である。 顔面神経麻痺では鼻孔が片側で十分に動かず、 鼻翼の非対称が生じることがある。

5.作用

  • 横部:鼻孔を狭める(呼気時など)
  • 翼部:鼻孔を広げる(吸気時・運動時など)
  • 表情筋として:怒り・軽蔑などの感情表現を助ける
鼻筋は呼吸調整と感情表現の両方に関与する。 特に「鼻をすぼめる」「鼻で笑う」といった動作に働く。

6.関連する経穴

鼻筋は大腸経・胃経の走行部に近接する。 鍼灸では鼻づまり・鼻炎・顔面神経麻痺などの症状に対して 迎香や巨髎などがよく用いられる。

7.臨床での関連(症状・特徴)

  • 鼻づまり、鼻炎による過緊張
  • 顔面神経麻痺による鼻翼運動の左右差
  • 怒り・いらだちなどで鼻根部がこわばる
  • 表情筋の不均衡による「鼻筋しわ」形成
鼻筋は呼吸補助筋・表情筋の両面を持つ。 鍼灸・顔面リリースでは、鼻づまり改善や表情の柔軟化を目的に 鼻翼周囲のリリースが行われることが多い。

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