大耳介神経(Great auricular nerve)まとめ

概要

大耳介神経は頸神経叢の皮枝であり、 主にC2・C3から構成される感覚神経である。 耳介および下顎角周囲の皮膚感覚を支配し、 耳痛や顎関節症状との関連が深い。


構成

  • C2
  • C3

走行

大耳介神経は胸鎖乳突筋の後縁付近で頸神経叢から出現し、 胸鎖乳突筋表面を斜めに上行する。

その後、耳介下方から前後に分かれ、 耳介および下顎角部の皮膚へ分布する。


主な枝

  • 前枝(下顎角・耳下腺部)
  • 後枝(耳介後面)

支配領域(感覚)

  • 耳介(主に下半分)
  • 下顎角周囲
  • 耳下腺部皮膚

機能

  • 耳介および下顎角周囲の皮膚感覚

臨床的ポイント

  • 耳介痛・耳下部痛
  • 顎関節症に伴う違和感
  • 耳下腺炎後の知覚異常
  • 胸鎖乳突筋緊張との関連

関連する筋


関連する血管


東洋医学的観点

大耳介神経の分布領域は、 東洋医学における足の少陽胆経および 足の陽明胃経の走行部と重なる。 耳下部や下顎角の症状は、 胆経・胃経の熱気滞として捉えられる。


関連経絡・経穴

臨床では翳風(TE17)完骨(GB12)下関(ST7)頬車(ST6)などが 耳介・顎周囲症状に用いられる。


まとめ

大耳介神経は頸神経叢由来の感覚神経で、 耳介下半分および下顎角周囲の知覚を担う。 解剖学的理解に東洋医学的経絡観を加えることで、 耳・顎関節関連症状への評価と治療の幅が広がる。

小後頭神経(Lesser occipital nerve)まとめ

"Image courtesy of Visible Body"(画像提供:Visible Body)

概要

小後頭神経は頸神経叢の皮枝であり、 主にC2(±C3)から構成される感覚神経である。 後頭部外側から耳介後方の皮膚感覚を支配し、 後頭部痛や耳周囲症状との関連が深い。


構成

  • C2
  • C3(しばしば)

走行

小後頭神経は胸鎖乳突筋後縁付近で頸神経叢から出現し、胸鎖乳突筋の後縁に沿って上行する。

その後、耳介後方を通過し、 後頭部外側の皮膚へ分布する。


主な枝

  • 後頭部外側皮枝
  • 耳介後部皮枝

支配領域(感覚)

  • 後頭部外側
  • 耳介後方
  • 乳様突起周囲

機能

  • 後頭部外側および耳介後方の皮膚感覚

臨床的ポイント


関連する筋


関連する血管

  • 後頭動脈(近傍)
  • 耳介後動脈

東洋医学的観点

小後頭神経の走行部位は、 東洋医学における足の少陽胆経および 手の少陽三焦経の領域と重なる。 耳周囲の症状は少陽経の失調として捉えられることが多い。


関連経絡・経穴

臨床では風池(GB20)完骨(GB12)翳風(TE17)角孫(GB8)などが 後頭部外側痛や耳周囲症状に用いられる。


まとめ

小後頭神経は頸神経叢由来の感覚神経で、 後頭部外側から耳介後方の知覚を担う。 解剖学的理解に加え、 少陽経の視点を組み合わせることで、 耳後部痛や側頭部頭痛への鑑別と治療精度が高まる。

第三後頭神経(Third occipital nerve)まとめ

"Image courtesy of Visible Body"(画像提供:Visible Body)

概要

第三後頭神経は第3頸神経(C3)後枝の内側枝であり、 主に後頭下部から後頭部下方の皮膚感覚を支配する。 臨床的にはC2/3椎間関節性頭痛との関連が深い神経である。


構成

  • C3

走行

第三後頭神経は第3頸椎レベルで脊髄神経後枝から分岐し、 C2/3椎間関節の後方を走行する。

その後、頭半棘筋を貫通し、 後頭部下方の皮下に出現して分布する。


主な枝

  • 後頭下部皮枝

支配領域(感覚)

  • 後頭部下方(後頭結節より下)
  • 上位頸部後面

機能

  • 後頭部下方および上位頸部の皮膚感覚

臨床的ポイント

  • C2/3椎間関節性頭痛
  • 頸部回旋・伸展で誘発される後頭部痛
  • 後頭結節下の圧痛点
  • 大後頭神経痛との鑑別が重要

関連する筋


関連する関節


関連する血管


東洋医学的観点

第三後頭神経の分布領域は、 東洋医学における足の太陽膀胱経および 督脈の上部走行と一致する。 椎間関節由来の頭痛は、 督脈の阻滞瘀血として捉えられることが多い。

  • 鋭い局所痛:瘀血
  • 可動域制限を伴う痛み:寒湿
  • 慢性化:腎虚・督脈虚弱

関連経絡・経穴

臨床では大杼(BL11)天柱(BL10)風府(GV16)百会(GV20)などが 後頭部下方痛や頸椎由来頭痛に用いられる。


まとめ

第三後頭神経はC3由来の感覚神経で、 後頭部下方と上位頸部の知覚を担う。 特にC2/3椎間関節性頭痛との関連を理解し、 解剖学的構造と膀胱経・督脈の視点を統合することが、 後頭部痛の精密な評価と治療につながる。

大後頭神経(Greater occipital nerve)まとめ

"Image courtesy of Visible Body"(画像提供:Visible Body)

概要

大後頭神経は第2頸神経(C2)後枝の内側枝であり、 後頭部から頭頂部にかけての皮膚感覚を支配する。 臨床的には後頭神経痛との関連が非常に深い神経である。


構成

  • C2


走行

大後頭神経は第2頸椎レベルで脊髄神経後枝から分岐し、 下頭斜筋の下方を通過する。

その後、半棘筋および僧帽筋を貫いて後頭部皮下へ出現し、 後頭結節付近から頭頂方向へ広く分布する。


主な枝

  • 後頭部皮枝
  • 頭頂部皮枝

支配領域(感覚)

  • 後頭部
  • 後頭結節周囲
  • 頭頂部(正中寄り)

機能

  • 後頭部および頭頂部の皮膚感覚

臨床的ポイント

  • 後頭神経痛(電撃様疼痛)
  • 後頭部の締め付け感・圧痛
  • 頸部伸展・回旋時の痛み増悪
  • 長時間の前傾姿勢による症状誘発

関連する筋


関連する血管


東洋医学的観点

大後頭神経の走行部位は、 東洋医学における足の太陽膀胱経および 手足の少陽経の領域と重なる。 後頭部痛は風邪(ふうじゃ)の侵入や 気血の滞りとして解釈されることが多い。


関連経絡・経穴

臨床では風池(GB20)天柱(BL10)完骨(GB12)百会(GV20)などが 後頭部痛や頸部緊張の改善に頻用される。


まとめ

大後頭神経はC2由来の感覚神経で、 後頭部から頭頂部の知覚を担う。 筋・血管との解剖学的関係を理解し、 膀胱経・少陽経の視点を加えることで、 後頭神経痛や慢性頭痛への評価と治療がより立体的となる。

深腓骨神経(Deep fibular nerve)まとめ

概要

深腓骨神経は総腓骨神経の終枝の一つであり、 主に下腿前側筋群の運動足背第1趾間の感覚を支配する。 足関節背屈および趾伸展に不可欠な神経である。


構成

  • L4
  • L5
  • S1

走行

深腓骨神経は腓骨頸部付近で総腓骨神経から分岐し、 前脛骨動脈と伴走しながら 下腿前側区画を下行する。

足関節前面を通過した後、足背深部へ入り、 最終的に第1趾間の皮膚に分布する。


主な枝

  • 筋枝(下腿前側筋群)
  • 関節枝(足関節
  • 足背趾神経(第1趾間)

支配筋


支配領域(感覚)

  • 第1趾と第2趾の間(足背)

機能

  • 足関節背屈
  • 足趾伸展
  • 歩行時のクリアランス確保

臨床的ポイント

  • 下垂足(背屈不能)
  • つま先が引っかかる歩行
  • 第1趾間の感覚障害
  • 前脛骨区画症候群

関連する血管


東洋医学的観点

深腓骨神経が走行する下腿前面から足背は、 東洋医学では足の陽明胃経と高度に一致する。 足背の痛みや下垂足様症状は、 気血の停滞筋脈の失調として捉えられる。

  • 背屈障害:気虚・筋失養
  • 足背痛:瘀血・熱
  • 前脛部の張り:経絡不通

関連経絡・経穴

臨床では足三里(ST36)解谿(ST41)衝陽(ST42)などが、 下腿前面症状や足背痛、歩行障害に用いられる。


まとめ

深腓骨神経は下腿前側筋群を支配し、 足関節背屈と足趾伸展を司る重要な神経である。 解剖学的理解に加え、 陽明胃経との関連を踏まえることで、 下垂足や足背症状への臨床的アプローチがより明確となる。

浅腓骨神経(Superficial fibular nerve)まとめ

概要

浅腓骨神経は総腓骨神経の終枝の一つであり、 主に下腿外側筋群の運動足背の感覚を支配する。 足関節の外反運動および歩行時の安定性に重要な役割を果たす。


構成

  • L4
  • L5
  • S1

走行

浅腓骨神経は腓骨頸部付近で総腓骨神経から分岐し、 長腓骨筋短腓骨筋の間を下行する。


下腿遠位では筋膜を貫いて皮下に出て、 足背に分布する皮神経となる。


主な枝


支配筋


支配領域(感覚)

  • 下腿前外側下部
  • 足背(第1趾間を除く)

機能


臨床的ポイント

  • 足関節外反障害
  • 足背のしびれ・感覚低下
  • 下腿外側の締め付け感
  • 足関節捻挫後の障害

関連する血管


東洋医学的観点

浅腓骨神経が走行する下腿外側〜足背は、 東洋医学では足の少陽胆経の走行とよく一致する。 足関節外側の不安定感やしびれは、 風湿経絡の不通として捉えられる。


関連経絡・経穴

臨床では陽陵泉(GB34)丘墟(GB40)懸鐘(GB39)などが 足関節外側症状や歩行障害の改善に用いられる。


まとめ

浅腓骨神経は下腿外側筋群と足背感覚を支配し、 足関節の安定と歩行に重要な役割を担う。 解剖学的走行と、 東洋医学的な胆経・風湿の視点を組み合わせることで、 外側足関節症状への理解と治療がより明確になる。

総腓骨神経(Common fibular nerve)まとめ

概要

総腓骨神経は坐骨神経の終枝の一つであり、 L4〜S2の神経根から構成される。 下腿前外側および足背の運動・感覚を担い、 臨床的には下垂足との関連で重要視される神経である。


構成

  • L4
  • L5
  • S1
  • S2

走行

総腓骨神経は膝窩部で坐骨神経から分岐し、 大腿二頭筋腱の内側を下行する。

その後、腓骨頭・腓骨頸部を回り込み、 この部位で浅腓骨神経深腓骨神経に分岐する。 腓骨頸部は表在性で、障害されやすい部位である。


主な枝


支配筋

  • 下腿前外側筋群(分岐後)

支配領域(感覚)

  • 下腿前外側
  • 足背

機能

  • 足関節背屈
  • 足趾伸展
  • 足関節外反

臨床的ポイント

  • 下垂足
  • 鶏歩(steppage gait)
  • 腓骨頸部での圧迫・外傷
  • 長時間の正座・脚組み

関連する血管


東洋医学的観点

総腓骨神経が支配する下腿前外側・足背は、 東洋医学では足の陽明胃経および 足の少陽胆経と関連が深い。 下垂足や運動障害は、 気虚経筋の失調として捉えられる。


関連経絡・経穴

臨床では足三里(ST36)陽陵泉(GB34)解谿(ST41)丘墟(GB40)などが 下垂足や下腿前外側症状に用いられる。


まとめ

総腓骨神経は下腿前外側および足背機能を担う重要な神経であり、 腓骨頸部で障害されやすいという臨床的特徴を持つ。 解剖学的理解に加え、 東洋医学的な経絡・気血の視点を併せることで、 下垂足や歩行障害への対応がより実践的となる。