尺骨(Ulna)の特徴と筋付着部

Ulna - animation2

骨の名称

  • 和名:尺骨
  • 英名:Ulna
  • ラテン名:Ulna

分類

  • 長骨(前腕の内側を構成する骨)

特徴・ランドマーク

  • 近位端(上端)
  • 骨体(shaft / body)
    • 三角柱状で、前・後・内側の3面をもつ。
    • 骨間縁(interosseous border)橈骨との間に骨間膜が付着。
    • 前縁と後縁の間に筋群(深指屈筋尺側手根屈筋)が付着。
  • 遠位端(下端)
    • 頭(head)橈骨切痕(distal)を介して橈骨と関節(遠位橈尺関節)を形成。
    • 茎状突起(styloid process)手関節内側の突起。尺側手根靭帯付着。
    • 関節円板(articular disc):尺骨頭と手根骨を隔てる線維軟骨。


関節



筋付着



神経支配(関連する筋を通じて)



血管との関係

  • 尺骨動脈:尺骨の内側を前腕に沿って下行。
  • 後骨間動脈:尺骨後面の伸筋群を栄養。
  • 骨間膜を介して橈骨動脈との交通枝あり。


臨床的意義

  • 尺骨骨幹骨折橈骨骨折と同時に起こることが多く、前腕回旋障害を伴う。
  • 肘頭骨折:転倒や直接打撃で起こり、肘伸展不能となる。
  • Monteggia骨折:尺骨近位部骨折+橈骨頭脱臼。
  • Galeazzi骨折橈骨遠位部骨折+尺骨頭脱臼。
  • 茎状突起骨折手関節外傷時に合併しやすい。


触診ポイント

  • 肘を屈曲して後方に突出する骨が肘頭。
  • 前腕内側をなぞると、全長にわたり尺骨体を触知可能。
  • 手関節掌側の内側に、茎状突起を確認できる。


東洋医学的関連

  • 経穴小海(SI8)(肘頭内側溝)、 陽谷(SI5)(尺骨茎状突起外側)、 神門(HT7)(尺骨茎状突起内側)。
  • 古典的考え方小腸経心経が尺骨の走行域を通り、肘から手首内側の痛み・痺れはこれら経絡の滞りと関連づけられる。


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