頭頂骨(Parietal bone )の特徴と筋付着部

Parietal bone animation2

骨の名称

  • 名称:頭頂骨
  • 英名:parietal bone
  • ラテン名:os parietale

頭蓋の側上部を形成する左右一対の平たい骨。外面はやや凸、内面は脳の輪郭に合わせて凹み、矢状縫合・冠状縫合・人字縫合・鱗状縫合を介して周囲の骨と連結します。



ランドマーク

  • 頭頂結節(parietal eminence) — 骨化中心を示す隆起。
  • 上側頭線(superior temporal line) — 側頭筋膜の付着線。
  • 下側頭線(inferior temporal line) — 側頭筋の起始上限。
  • 頭頂孔(parietal foramen) — 外側頭静脈や血管が通る小孔(個人差あり)。


内面の特徴

  • 矢状溝(sagittal sulcus) — 上矢状静脈洞が走行。
  • 中硬膜動脈枝の溝 — 内面に網状の溝として確認できる。


付着する筋・腱膜

  • 側頭筋 — 側頭窩から起始、下顳線が上限。
  • 側頭筋膜 — 上顳線に付着。
  • 帽状腱膜(galea aponeurotica) — 頭頂部を覆い、前頭筋・後頭筋を連結。
頭頂骨自体は四肢筋の起始・停止には関与せず、主に腱膜や側頭筋群との関係が重要です。


構成する関節(縫合)

  • 矢状縫合(左右の頭頂骨間)
  • 冠状縫合(前方で前頭骨と)
  • 人字縫合(後方で後頭骨と)
  • 鱗状縫合(下方で側頭骨と)
  • 接合する骨:額骨・枕骨・側頭骨・蝶形骨(大翼)・対側頭頂骨


関連する経穴

  • 百会(GV20) — 頭頂の最高点。頭痛・不眠・精神症状などに用いる。
  • 四神聡(EX-HN1) — 百会の前後左右1寸。記憶力・集中力向上に用いる。
  • 前頂(GV21) — 百会より前方1寸。頂部前方の調整点。
経穴位置は個人差があるため、骨表と頭皮の位置関係を合わせて確認すること。


臨床・教育的ポイント

  • 頭頂骨内面には中硬膜動脈枝が走行し、外傷で硬膜外血腫を起こすことがある。
  • 頭頂孔から小静脈が外頭静脈に交通する場合があり、手術時注意。
  • 胎児期は膜性骨化により形成され、前後の泉門閉鎖と関連。


発生・骨化

膜性骨化(膜内骨化)で形成され、胎生8週頃に骨化中心が出現。出生後に前頂・後頂が閉鎖し、成人で完全に癒合します。



参考文献

  • Kenhub: The Parietal Bone(ランドマーク・筋付着)
  • Radiopaedia: Parietal Bone(内面の構造・臨床)
  • Shen EY et al., Locating the Acupoint Baihui (GV20), PMC
  • MasterTung / eLotus: Sishencong (EX-HN1), Qianding (GV21)

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