骨の名称
- 名称:頭頂骨
- 英名:parietal bone
- ラテン名:os parietale
頭蓋の側上部を形成する左右一対の平たい骨。外面はやや凸、内面は脳の輪郭に合わせて凹み、矢状縫合・冠状縫合・人字縫合・鱗状縫合を介して周囲の骨と連結します。
ランドマーク
- 頭頂結節(parietal eminence) — 骨化中心を示す隆起。
- 上側頭線(superior temporal line) — 側頭筋膜の付着線。
- 下側頭線(inferior temporal line) — 側頭筋の起始上限。
- 頭頂孔(parietal foramen) — 外側頭静脈や血管が通る小孔(個人差あり)。
内面の特徴
- 矢状溝(sagittal sulcus) — 上矢状静脈洞が走行。
- 中硬膜動脈枝の溝 — 内面に網状の溝として確認できる。
付着する筋・腱膜
- 側頭筋 — 側頭窩から起始、下顳線が上限。
- 側頭筋膜 — 上顳線に付着。
- 帽状腱膜(galea aponeurotica) — 頭頂部を覆い、前頭筋・後頭筋を連結。
頭頂骨自体は四肢筋の起始・停止には関与せず、主に腱膜や側頭筋群との関係が重要です。
構成する関節(縫合)
- 矢状縫合(左右の頭頂骨間)
- 冠状縫合(前方で前頭骨と)
- 人字縫合(後方で後頭骨と)
- 鱗状縫合(下方で側頭骨と)
- 接合する骨:額骨・枕骨・側頭骨・蝶形骨(大翼)・対側頭頂骨
関連する経穴
- 百会(GV20) — 頭頂の最高点。頭痛・不眠・精神症状などに用いる。
- 四神聡(EX-HN1) — 百会の前後左右1寸。記憶力・集中力向上に用いる。
- 前頂(GV21) — 百会より前方1寸。頂部前方の調整点。
経穴位置は個人差があるため、骨表と頭皮の位置関係を合わせて確認すること。
臨床・教育的ポイント
- 頭頂骨内面には中硬膜動脈枝が走行し、外傷で硬膜外血腫を起こすことがある。
- 頭頂孔から小静脈が外頭静脈に交通する場合があり、手術時注意。
- 胎児期は膜性骨化により形成され、前後の泉門閉鎖と関連。
発生・骨化
膜性骨化(膜内骨化)で形成され、胎生8週頃に骨化中心が出現。出生後に前頂・後頂が閉鎖し、成人で完全に癒合します。
参考文献
- Kenhub: The Parietal Bone(ランドマーク・筋付着)
- Radiopaedia: Parietal Bone(内面の構造・臨床)
- Shen EY et al., Locating the Acupoint Baihui (GV20), PMC
- MasterTung / eLotus: Sishencong (EX-HN1), Qianding (GV21)

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