指骨(Phalanges)の特徴と筋付着部
骨の名称
- 和名:指骨(しこつ)
- 英名:Phalanges(単数:Phalanx)
- ラテン名:Ossa digitorum manus
分類
- 長骨に分類される(小型の長骨)。
- 手指の骨格を構成し、巧緻な運動を可能にする。
構成
- 各指(第2〜第5指)は3個の骨(近位・中節・末節指骨)からなる。
- 親指(第1指)は2個(近位指骨・末節指骨)からなる。
- 全体で14個の指骨が存在する。
- 各指骨は基部(底, base)・体(shaft)・頭(head)に区分される。
各部の特徴
- 近位指骨(proximal phalanx):中手骨と関節を形成。骨体は円柱状で中央がやや細い。
- 中節指骨(middle phalanx):第2〜第5指にのみ存在。小型で扁平。
- 末節指骨(distal phalanx):指尖部を形成。末端に爪床粗面(tuberositas phalangis distalis)を持つ。
関節
- 中手指節関節(MCP関節):中手骨頭と近位指骨基部の間。屈伸・外転・内転可能。
- 近位指節間関節(PIP関節):近位指骨頭と中節指骨基部の間。主に屈伸運動。
- 遠位指節間関節(DIP関節):中節指骨頭と末節指骨基部の間。屈伸運動を行う。
- 親指ではIP関節(指節間関節)のみを有する。
筋付着
- 起始する筋(指骨から始まる)
- 停止する筋(指骨に終わる)
神経支配(関連筋より)
- 正中神経(C7–T1):浅指屈筋・深指屈筋外側部・母指球筋群・外側虫様筋
- 尺骨神経(C8–T1):深指屈筋内側部・骨間筋・内側虫様筋・小指球筋
- 橈骨神経(C6–C8):伸筋群(長母指伸筋・短母指伸筋・浅指伸筋など)
血管との関係
- 掌側では、総掌側指動脈が各指に分岐し、固有掌側指動脈として指腹部を灌流。
- 背側では背側指動脈が爪床や背面を栄養。
- 末節骨先端は爪床動脈の枝で豊富な血流を受ける。
臨床的意義
- 指骨骨折:直接外力や挟み込みによる。特に末節骨折は日常的に多い。
- 槌指(mallet finger):末節骨背側で伸筋腱断裂または骨片剥離による伸展不能。
- 白蝋病(レイノー症候群):末節部の血流障害により蒼白化・疼痛。
- DIP・PIP関節拘縮:腱鞘炎・関節リウマチなどにより可動制限。
触診ポイント
- 各指の骨軸に沿って触診。中節・末節は皮下に明瞭に触れる。
- DIP関節下で末節骨の膨らみ(爪床下)を確認できる。
- PIP関節両側に側副靱帯を伴い、屈伸時の安定を触知できる。
東洋医学的関連
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