PIP関節(近位指節間関節) の特徴と関連する経穴・臨床ポイント

概要

PIP関節は、各指の基節骨と中節骨の間に位置する蝶番関節で、主に屈曲・伸展を担う。手の把握動作やつまみ動作に不可欠で、特に日常生活で頻回に使用されるため損傷も多い。


関節分類

蝶番関節(単軸性):屈伸運動のみ。


構成骨

  • 基節骨頭
  • 中節骨底

靭帯

  • 掌側板(掌側靭帯):過伸展防止、PIP安定性の要
  • 側副靭帯:屈曲時に強く緊張し、側方安定性を担う
  • 横中指靭帯(深横中手靭帯と連動):隣接指との連動制御

運動(機能)

  • 屈曲:約100〜110°(最も可動性が大きい手指関節)
  • 伸展:0°(通常過伸展はほぼしない)

関連する筋

屈曲 伸展

神経支配

  • 正中神経(浅指屈筋・虫様筋外側)
  • 尺骨神経(骨間筋・虫様筋内側)
  • 橈骨神経(伸筋群)

血管

  • 固有指動脈(掌側)
  • 背側指動脈(背側)

触診ポイント

  • PIP関節の関節裂隙は軽度屈曲位で触れやすい
  • 掌側には掌側板が厚く触れる(圧痛は損傷の指標)
  • 側副靭帯は背側から屈曲位で触れる
  • 腫脹や熱感はPIP関節炎の重要所見

臨床・病態

  • PIP捻挫(側副靭帯損傷):ボールスポーツで頻発
  • 掌側板損傷(ハイパーエクステンション外傷)
  • マレットフィンガーの連鎖障害
  • ヘバーデン/ブシャール結節(手OA):PIPはブシャール
  • 関節リウマチでの腫脹・変形

東洋医学的関連

指のPIP周囲には経絡の末端枝が走行し、指の痛み・こわばりの治療に頻用される。 特に肺経大腸経心包経三焦経小腸経と関連が深い。

関連する主な経穴(各指) 鍼灸効果
  • PIP関節炎による痛み・腫脹の軽減
  • 屈伸制限の改善(伸展拘縮・屈曲拘縮)
  • 手指のこわばり(朝のこわばり)の改善
  • 腱鞘炎(特に浅指屈筋腱)に伴う症状緩和
  • リウマチ性炎症の疼痛管理

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