最長筋の起始・停止・作用まとめ

１．筋肉の名称（和名・英名・ラテン語）

• 和名：最長筋（さいちょうきん）（頭最長筋・頸最長筋・胸最長筋）
• 英名：Longissimus muscle（capitis, cervicis, thoracis）
• ラテン語：Musculus longissimus（capitis, cervicis, thoracis）

２．起始・停止

• ① 頭最長筋（Longissimus capitis）
• 起始：第4〜第7頸椎および第1〜第3胸椎の横突起
• 停止：側頭骨乳様突起
• ② 頸最長筋（Longissimus cervicis）
• 起始：第1〜第5胸椎の横突起
• 停止：第2〜第6頸椎の横突起後結節
• ③ 胸最長筋（Longissimus thoracis）
• 起始：仙骨・腰椎棘突起・腸骨稜
• 停止：全胸椎の横突起、第2〜第12肋骨の後面

最長筋は脊柱起立筋群の中央部に位置し、腸肋筋（外側）と棘筋（内側）の間にある。 全体として頭部から骨盤まで連続する長大な筋束を形成している。

３．支配神経

• 脊髄神経後枝（posterior rami of spinal nerves）

４．作用

• 両側収縮：脊柱および頭部の伸展（背筋を伸ばす）
• 片側収縮：脊柱・頭部の同側側屈
• 姿勢維持（体幹の安定化）

日常的には、立位や座位で体幹を支える抗重力筋として働く。 長時間の前傾姿勢で疲労しやすく、慢性腰痛の原因筋にもなりやすい。

５．関連する経穴

• 肺兪（BL13）〜大腸兪（BL25）：背部〜腰部の最長筋上
• 腎兪（BL23）：腰部最長筋の重要経穴
• 気海兪（BL24）：腰背部の緊張緩和
• 膈関（BL43）：上背部（第4胸椎）の最長筋上に位置

最長筋の走行に沿って手の太陽膀胱経の兪穴が多数分布する。 鍼灸では、腰背部痛・疲労・姿勢不良・自律神経症状などに対して治療点となる。

６．臨床での関連

• 慢性腰痛・背部痛（特に立位・座位姿勢保持時）
• 背中の張り・重だるさ
• 猫背・前傾姿勢による筋疲労
• 呼吸の浅さ・胸郭可動性の低下
• 自律神経の乱れ（交感神経過緊張）

７．臨床メモ

• 最長筋は脊柱起立筋群の中核筋で、姿勢維持・脊柱伸展の主動筋。
• 慢性的に硬くなると、背部全体の柔軟性が低下する。
• 鍼灸では腎兪・膈関・気海兪などの兪穴で緊張を緩和。
• 疲労時には深呼吸や軽い体幹伸展運動が有効。