腸肋筋の起始・停止・作用まとめ

1.筋肉の名称(和名・英名・ラテン語)

  • 和名:腸肋筋(ちょうろくきん)(腰腸肋筋・胸腸肋筋・頸腸肋筋)
  • 英名:Iliocostalis muscle(lumborum, thoracis, cervicis)
  • ラテン語:Musculus iliocostalis(lumborum, thoracis, cervicis)

2.起始・停止

  • ① 腰腸肋筋(Iliocostalis lumborum)
    • 起始:腸骨稜、仙骨、腰椎棘突起
    • 停止:第6〜第12肋骨の下縁
  • ② 胸腸肋筋(Iliocostalis thoracis)
    • 起始:第7〜第12肋骨の角
    • 停止:第1〜第6肋骨の角および第7頸椎横突起
  • ③ 頸腸肋筋(Iliocostalis cervicis)
    • 起始:第3〜第6肋骨
    • 停止:第4〜第6頸椎の横突起後結節
腸肋筋は脊柱起立筋群の最外側に位置し、最長筋・棘筋と並行して走行する。 腰部から頸部まで連続し、脊柱の外側支柱として働く。

3.支配神経

  • 脊髄神経後枝(posterior rami of spinal nerves)

4.作用

  • 両側収縮:脊柱(体幹・頸部)の伸展
  • 片側収縮:脊柱の同側側屈
  • 姿勢保持(体幹の安定化、抗重力筋)
腸肋筋は脊柱の外側安定性に寄与し、特に体幹の側屈運動に関与する。 長時間の立位・座位姿勢で疲労すると、腰背部の張りや痛みを引き起こす。

5.関連する経穴

腸肋筋の走行部には手の太陽膀胱経の兪穴が並び、 腰痛・姿勢性疲労・下肢のだるさなどの治療に用いられる。

6.臨床での関連

  • 慢性腰痛・腰背部のこり・疲労感
  • 長時間立位・デスクワークによる腰の張り
  • 体幹側屈制限(特に同側屈)
  • 骨盤の傾き・姿勢不良(反り腰・猫背)
  • 呼吸運動への関与(肋骨の固定・補助)

7.臨床メモ

  • 腸肋筋は体幹外側の姿勢保持筋で、腰部安定の要。
  • 疲労・過伸長によって腰部鈍痛やだるさを訴えることが多い。
  • 鍼灸では「腎兪」「大腸兪」「関元兪」などが重要治療点。
  • 体幹のバランスをとるため、最長筋・多裂筋との協調が不可欠。

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