概要
環椎後頭関節(Atlas–Occipital Joint:AO関節)は、頭蓋骨の後頭顆と第1頸椎(環椎, C1)の上関節窩で構成される関節です。
頸部のうち、頭部の前後運動(うなずき動作)を主に担う最も重要な上位頸椎関節の一つです。
構成する骨
関節の種類
楕円関節(顆状関節)
関節面
- 後頭顆:凸面
- 環椎上関節窩:凹面
運動
- 屈曲:うなずき動作の前方移動
- 伸展:後方へのうなずき返し
- わずかな側屈
支持する靭帯
- 前環椎後頭膜
- 後環椎後頭膜
- 関節包
- 翼状靭帯(間接的に頭部の安定に関与)
作用筋(主に関与する筋)
ランドマーク(触診)
- 乳様突起の内側・下方に関節の位置がある
- 後頭骨と環椎の間の隙間は触診で直接感じられないが、後頭骨の曲線から位置を推定
- 後頭下筋群の緊張が、AO関節の機能評価の指標になる
臨床で重要なポイント
- 頭痛(特に後頭部痛)との関連が強い
- めまい、眼精疲労、頸性頭痛の重要ポイント
- 前方頭位姿勢(FHP)で過負荷がかかりやすい
- 上位頸椎の可動域評価の要
東洋医学的関連
AO関節付近は、後頭部を走行する足の太陽膀胱経と、頭部の調整に重要な督脈の影響を強く受ける部位です。
特に後頭部痛・目の疲れ・自律神経の乱れなどと関連づけられます。
- 風池(GB20):環椎外側・後頭骨下の最重要ポイント
- 天柱(BL10):僧帽筋上部・胸鎖乳突筋の深部
- 風府(GV16):環椎上の正中部で督脈の要穴
- 瘂門(GV15):頸部正中線の上位、呼吸・精神の調整に関与
- 後頭部痛・片頭痛
- 目の奥の痛み、眼精疲労
- 自律神経の乱れ(特に交感神経過緊張)
- めまい・ふらつき
- 頸部の可動域制限(うなずき動作)改善
AO関節は鍼灸でも整体でも「頭と体のつなぎ目」として最重要ポイントの一つです。

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