腸腰筋まとめ

１．概要

腸腰筋は、大腰筋と腸骨筋からなる強力な股関節屈筋で、体幹と下肢をつなぐ唯一の筋。
姿勢保持・歩行・走行・階段昇降・立ち上がりなど日常動作すべてに深く関与する。

２．構成筋

• 大腰筋（Psoas major）：腰椎〜大腿骨小転子
• 腸骨筋（Iliacus）：腸骨窩〜大腿骨小転子

３．起始・停止

• 大腰筋（Psoas major）
  ・起始：T12〜L5の椎体・椎間円板、腰椎横突起
  ・停止：大腿骨 小転子
• 腸骨筋（Iliacus）
  ・起始：腸骨窩、仙骨翼
  ・停止：大腿骨 小転子

４．支配神経

• 大腰筋：腰神経叢（L1〜L3）
• 腸骨筋：大腿神経（L2〜L3）

５．作用

• 股関節の強力な屈曲
• 股関節の外旋補助
• 体幹の前屈（固定時）
• 立位での腰椎前弯（姿勢維持）

６．ランドマーク・触診ポイント

• 腸骨筋：鼠径部の深部で触知
• 大腰筋：腹部深層（臍の少し外側・大動脈の外側付近）
• 圧痛は腰痛・股関節前面痛の評価ポイントに重要

７．関連する経穴（東洋医学）

• 気衝（ST30）
• 大横（SP15）
• 天枢（ST25）
• 衝門（SP12）

これらの経穴は腸腰筋の走行部位に近く、腰痛・下肢痛・姿勢改善に用いられる。

８．臨床的重要性

• 腰痛の最大の原因筋のひとつ
• 股関節の屈曲制限による姿勢不良（反り腰）
• 腸腰筋の過緊張で膝上げ動作の低下
• 歩行時の骨盤の歪み・代償動作の原因
• 大腰筋トリガーポイント → 腰部・鼠径部・大腿前面に関連痛

９．構成関節

• 股関節（寛骨・大腿骨）
• 腰椎（大腰筋）