胸肋関節の特徴と関連する経穴・臨床ポイント

概要

胸肋関節は、胸骨と第1~第7肋軟骨の間に形成される関節で、胸郭の弾性と呼吸運動に重要な役割を持ちます。
第1肋軟骨は軟骨結合(一次線維軟骨結合)、第2〜第7肋軟骨は滑膜性関節です。
胸郭の拡張・収縮時の前後・上下運動に密接に関与します。


構成する骨

  • 胸骨(柄・体)
  • 第1〜第7肋軟骨

関節の種類

  • 第1胸肋関節:軟骨結合(一次線維軟骨結合)
  • 第2〜第7胸肋関節:滑膜性関節(平面関節)

関節面

  • 胸骨側:胸骨の肋切痕
  • 肋軟骨側:肋軟骨の端部

運動

胸肋関節の動きは呼吸運動を生み出します。

  • 前後方向の揺動(胸骨の前方挙上:ポンプハンドル運動)
  • 上下方向の拡張

支持する靭帯

  • 胸肋靭帯(前・後)
  • 肋軟骨間靭帯
  • 肋骨横靭帯
  • 関節包(第2〜第7)

作用筋(胸郭運動に関与)


ランドマーク(触診)

  • 胸骨上に触れる肋軟骨と胸骨の接合部(胸骨の外側縁)
  • 第2肋骨(胸骨角レベル)が最も触れやすい基準点
  • 第3〜第7肋軟骨も胸骨外側縁から追跡可能

臨床で重要なポイント

  • 胸肋関節の可動性低下は呼吸の浅さ・胸郭硬化につながる
  • 胸郭出口症候群や姿勢不良(猫背)と関連
  • 肋軟骨炎(Tietze症候群)の発生部位
  • 胸部痛・胸骨周囲痛の原因として重要
  • 左右差の評価は胸郭機能改善の鍵

東洋医学的関連

胸肋関節周囲は手の太陰肺経足の厥陰肝経任脈の重要な経穴が多く、呼吸機能・胸脇部の気滞・情志の停滞と深く関連します。

関連する主な経穴
  • 肺経:中府雲門(第1・第2肋骨付近)
  • 肝経:期門(第6肋間、肝の気滞と関連)
  • 任脈:膻中(胸郭中央、呼吸と気の巡りの要)

鍼灸では、胸肋関節の可動改善は呼吸の改善、胸部痛の緩和、情志の安定、自律神経調整などに有効とされます。

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