概要
肋椎関節は、肋骨と胸椎の間に形成される関節の総称で、
① 肋骨頭関節(Costovertebral Joint) と
② 肋横突関節(Costotransverse Joint) の2つの関節から構成されます。
胸郭の拡張と収縮を司り、呼吸機能に大きな役割を持つ重要な関節群です。
含まれる関節
関節の種類
滑膜性関節(主に平面関節)
構成する骨
関節面
肋骨頭関節
- 肋骨頭の関節半面(上・下)
- 胸椎の上・下肋骨窩
- 椎間円板の肋骨窩
- 肋骨結節の関節面
- 胸椎横突起の関節面
運動
肋椎関節の運動は胸郭の呼吸運動を作り出します。
- 上部胸郭(T1〜T6):ポンプハンドル運動(前後方向の挙上)
- 下部胸郭(T7〜T10):バケットハンドル運動(側方への拡張)
支持する靭帯
- 放射状肋骨頭靭帯
- 肋骨頭内側靭帯
- 肋横突靭帯
- 上肋横突靭帯
- 内側肋横突靭帯
- 関節包(各関節)
作用筋(呼吸との関連)
ランドマーク(触診)
- 肋骨角のすぐ内側に肋横突関節(比較的触れにくい)
- 胸椎棘突起から2〜3cm外側の深部に位置
- 肋骨頭関節は体表から触診は困難
臨床で重要なポイント
- 胸椎可動性低下は呼吸機能の低下につながる
- 肋椎関節の機能障害は肋間神経痛の原因となる
- 猫背・胸椎伸展制限でも負荷が増加
- 胸郭の左右差(肋骨の挙上・下降差)を評価する際に重要
- 胸郭出口症候群の補助評価にも有用
東洋医学的関連
肋椎関節周囲は背部兪穴(足の太陽膀胱経)が並ぶ重要な部位で、呼吸機能や臓腑の働きに影響を与えるとされます。
また肋骨運動は肝経・肺経とも密接に関係し、気滞や胸脇不快感などの症状にも反映されやすい部位です。
鍼灸では、肋椎関節の調整は
呼吸改善・胸背部痛緩和・自律神経調整・胸郭の左右差改善
などに効果が期待されます。

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