概要
肋横突関節は、肋骨結節と同じ椎骨の横突起との間に形成される滑膜性の関節で、胸郭の運動の中心的役割を担います。
胸椎1〜10番の肋骨でみられ、胸郭のポンプハンドル運動・バケットハンドル運動に大きく関与します。
構成する骨
関節の種類
滑膜性関節(平面関節)
関節面
- 肋骨結節の関節面
- 胸椎横突起の関節面
運動
胸椎レベルで運動方向が異なります:
- 上部胸椎(T1〜T6):回転が主、ポンプハンドル運動に関与
- 下部胸椎(T7〜T10):滑動が主、バケットハンドル運動に関与
支持する靭帯
- 肋横突靭帯
- 上肋横突靭帯
- 内側肋横突靭帯
- 関節包
作用筋(胸郭の動きに関連)
ランドマーク(触診)
- 胸椎横突起と肋骨の接合部に位置
- 体表から触知は比較的困難だが、肋骨角のすぐ内側にある
- 胸椎のスピノプロセス(棘突起)から外側約2〜3cm付近を目安
臨床で重要なポイント
- 胸椎可動域制限(特に伸展・回旋)と関連しやすい
- 呼吸障害や姿勢不良(猫背)で負荷が増す
- 肋間神経痛の発生部位としても関連
- 肋椎関節複合(肋骨頭関節+肋横突関節)の機能不全が胸郭の可動性低下を招く
東洋医学的関連
肋横突関節周囲は足の太陽膀胱経(膀胱経)の経絡が胸椎部を走行するため、背部のコリや呼吸の浅さに関連するとされます。
また肋骨の動きは肺経・肝経とも関係し、気滞・気逆・胸脇苦満などの病態とも関連します。
鍼灸では、肋椎関節の機能改善は呼吸の改善・胸背部痛の緩和・姿勢改善に効果が期待されます。

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