肋骨頭関節の特徴と関連する経穴・臨床ポイント

概要

肋骨頭関節は、肋骨の肋骨頭と、胸椎椎体・椎間円板との間で構成される滑膜性関節です。
呼吸運動(胸郭の拡張・収縮)に深く関与し、胸郭機能を支える重要な関節群です。
第2〜第9肋骨は2つの椎体にまたがって関節し、第1・第10〜12肋骨は1つの椎体と関節します。


構成する骨

  • 肋骨
  • 胸椎椎体
  • 椎間円板(肋骨頭関節の一部として関節面を提供)

関節の種類

平面関節(滑膜性)


関節面

  • 肋骨頭の関節面
  • 胸椎椎体の肋骨窩(上肋骨窩・下肋骨窩)
  • 椎間円板の側面(肋骨頭関節の隔壁となる)

第1・第10〜12肋骨の特徴

  • 単一の椎体とのみ関節する
  • 可動性が比較的小さい
  • 第11・12肋骨は浮肋でさらに自由度が高い

支持する靭帯

  • 放射肋骨頭靭帯:肋骨頭を椎体に放射状に固定
  • 肋骨頭間靭帯(肋骨頭内靭帯):肋骨頭の2つの関節面を区分(2椎体型に存在)
  • 関節包

運動

肋骨の回転運動を中心に行われ、胸郭の拡張・収縮を担う。

  • ポンプハンドル運動(上位肋骨):前後径の変化
  • バケットハンドル運動(下位肋骨):左右径の変化

作用筋(呼吸と連動)


ランドマーク(触診)

  • 棘突起のやや外側、肋骨角の近くが肋椎関節の触診ポイント
  • 胸椎の回旋制限・肋骨の固定感で機能障害を推定
  • 上位(1〜4肋骨)は特に触診難度が高い

臨床で重要なポイント

  • 肋骨頭関節の硬さは呼吸制限の主要因
  • 胸椎の可動性低下と連動して背部痛を生じやすい
  • 外肋骨筋の過緊張と関連
  • 胸郭出口症候群の補助的評価ポイント
  • ストレス・猫背姿勢で上位肋骨頭関節が硬くなる

東洋医学的関連

肋骨頭関節は、背部を走行する足の太陽膀胱経と、側胸部に広がる足の少陽胆経と深く関係します。
呼吸や胸部の気の巡りは、東洋医学では肺(宗気)肝(気機の疏泄)と重要な関係があるとされます。

関連する主な経穴 鍼灸臨床での関連
  • 肋間神経痛・肋間の張り
  • 呼吸が浅い・胸が広がらない
  • 猫背姿勢による胸郭の硬さ
  • ストレス由来の肋骨緊張(肝気鬱結)
  • 肩甲骨内側の痛み(膏肓あたり)
  • 胸椎可動域の改善

肋骨頭関節は呼吸・姿勢・胸郭の動きに直結し、鍼灸でも整体でも極めて重要な治療ポイントです。

0 件のコメント:

コメントを投稿