前方引き出しテスト(Anterior Drawer Test:ACL)

■ 概要

前方引き出しテストは、脛骨を前方へ引き出すことで前十字靭帯(ACL)の機能を評価する理学検査である。 膝関節の前方不安定性を確認する基本的な靭帯テストである。


■ 目的

  • 前十字靭帯(ACL)損傷の評価
  • 膝関節の前方不安定性の確認
  • スポーツ外傷の鑑別

■ 方法

  1. 患者を仰臥位とする
  2. 膝関節約90度屈曲させる
  3. 足部を固定(検者が座る、または手で固定)する
  4. 検者は脛骨近位部を両手で把持する
  5. 脛骨を前方へ引き出す

■ 陽性所見

  • 健側と比較して前方移動量が増大
  • エンドフィール(終末感)の消失

これらが認められる場合、陽性とする。


■ 解釈(病態)

ACLは脛骨の前方移動を制御するため、損傷すると前方への移動が増加する。

  • 前十字靭帯損傷(部分断裂・完全断裂)
  • 膝関節の前方不安定性

前方移動の増大+終末感の消失=ACL損傷を強く示唆する。


■ ラックマンテストとの違い(重要)

  • 前方引き出し:膝90°屈曲
  • ラックマン:膝20〜30°屈曲

ラックマンテストはハムストリングスの影響が少なく、急性期ではより高感度とされる。 一方、前方引き出しテストは基本評価として広く用いられる


■ 鑑別のポイント

  • PCL損傷 → 後方引き出しテスト陽性
  • 半月板損傷 → マクマレーテスト陽性
  • 内側側副靭帯損傷 → 外反ストレスで痛み

不安定性(グラつき)があるかどうかが重要な判断材料となる。


■ 東洋医学的関連

靭帯損傷による膝痛は、東洋医学では痺証(ひしょう)として捉えられる。

関連する経絡:

  • 足の陽明胃経(前面)
  • 足の太陰脾経(内側)
  • 足の少陽胆経(外側)
  • 足の太陽膀胱経(後面)

■ 鍼灸臨床との関連

● 病態把握

● 治療方針

  • 炎症の軽減
  • 血流改善・瘀血除去
  • 関節安定性の向上
  • 経絡の通利

● 代表的な経穴

● 臨床的ポイント


■ 注意点(安全管理)

  • 強い力で引き出さない
  • 急性外傷直後は慎重に実施
  • 筋の緊張(ハムストリングス)に注意

■ まとめ

前方引き出しテストは、前十字靭帯損傷を評価する基本的な理学検査である。 ラックマンテストと併用することで診断精度が向上し、 東洋医学的には痺証瘀血肝腎不足として捉え、鍼灸治療に応用できる。

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