アドソンテスト(Adson test)

■ 概要

アドソンテストは、頸部の回旋・伸展と吸気を組み合わせることで斜角筋間隙を狭小化し、胸郭出口症候群(thoracic outlet syndrome:TOS)の有無を評価する理学検査である。 特に斜角筋症候群の評価に有用である。


■ 目的


■ 方法

  1. 患者を座位または立位とする
  2. 検者は橈骨動脈の脈拍を触知する
  3. 患者に深吸気をさせる
  4. 頭部を患側へ回旋し、軽度伸展させる
  5. その状態で脈拍の変化と症状を確認する

■ 陽性所見

  • 橈骨動脈の拍動減弱または消失
  • 上肢のしびれ・疼痛・冷感の出現

これらが認められる場合、陽性とする。


■ 解釈(病態)

斜角筋の緊張や解剖学的狭窄により、斜角筋間隙で以下の構造が圧迫される:

示唆される病態:


■ 鑑別のポイント

  • ライトテスト陽性 → 小胸筋下での圧迫
  • エデンテスト陽性 → 肋鎖間隙での圧迫
  • 頸椎テスト陽性 → 神経根症の可能性

複数のTOSテストを組み合わせて評価することが重要である。


■ 東洋医学的関連

アドソンテストで誘発される症状は、東洋医学では痺証(ひしょう)として捉えられる。

  • 気滞血瘀:圧迫による循環障害
  • 気血不通:しびれ・冷感
  • 痰湿:組織の腫脹・圧迫要因

関連する経絡:

  • 手の陽明大腸経(肩前面)
  • 手の少陽三焦経(外側)
  • 手の太陽小腸経(後面)

■ 鍼灸臨床との関連

● 病態把握

  • 局所:斜角筋の過緊張・血流障害
  • 全身:気血の巡りの低下

● 治療方針

  • 斜角筋の緊張緩和
  • 胸郭出口の開放
  • 血流改善・神経圧迫の軽減
  • 経絡の通利

● 代表的な経穴

  • 天鼎・扶突(頸部前側の調整)
  • 缺盆(胸郭出口部の要穴)
  • 肩井(肩上部の緊張緩和)
  • 合谷・曲池(上肢症状)
  • 外関(三焦経調整)

● 臨床的ポイント

  • 斜角筋へのアプローチは慎重に(深部構造に注意)
  • 姿勢改善(猫背・巻き肩)指導が重要
  • 呼吸改善(胸式→腹式)も有効

■ 注意点(安全管理)

  • 脈拍の評価は左右差を確認する
  • 過度な頸部伸展・回旋を避ける
  • めまい・気分不良が出た場合は中止

■ まとめ

アドソンテストは、斜角筋間隙における血管・神経の圧迫を評価する胸郭出口症候群の基本検査である。 複数のTOSテストと併用することで診断精度が高まり、 東洋医学的には気血不通・痺証として捉え、鍼灸治療に応用できる。

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