後斜角筋の起始・停止・作用まとめ

Scalenus posterior - animation03

1.名称(和名・英名・ラテン語)

  • 和名:後斜角筋(こうしゃかくきん)
  • 英名:Scalenus posterior muscle
  • ラテン語:Musculus scalenus posterior
後斜角筋は、斜角筋群のうち最も後方に位置する小筋で、 中斜角筋の後方から起こり、第2肋骨外側面に付着する。 呼吸時に第2肋骨を引き上げる吸気補助筋として機能する。

2.起始・停止

  • 起始: 第4〜第6頸椎の横突起後結節(posterior tubercles of transverse processes of C4–C6)
  • 停止: 第2肋骨外側面(outer surface of 2nd rib)
筋線維は下外方に向かい、第2肋骨外側に付着する。 中斜角筋のすぐ後方に位置し、肩甲挙筋や上後鋸筋に接している。

3.支配神経

  • 頸神経叢の前枝(C6〜C8)
頸神経叢(C3〜C8)のうち、特にC6〜C8からの枝により支配される。 前・中斜角筋とともに同系統の神経支配を受ける。

4.作用

  • 第2肋骨を挙上(吸気補助)
  • 頸部を同側に側屈
深呼吸時に第2肋骨を引き上げて胸郭を拡張する。 また、片側収縮で頸部を同側に倒す(側屈)。

5.位置関係・特徴

  • 前方:中斜角筋
  • 後方:肩甲挙筋・上後鋸筋
  • 停止部は中斜角筋よりも後下方に位置
後斜角筋は中斜角筋の後縁から分離している場合もあり、 しばしば小さく不明瞭なことがある。 第2肋骨に停止する点が他の斜角筋と区別される特徴である。

6.関連する経穴

後斜角筋は小腸経胆経の経路上に位置し、 肩上部や後頸部の緊張・痛みに関連する経穴が多い。 「肩井」「肩外兪」などは後斜角筋領域の過緊張に対応して使用される。

7.臨床での関連(症状・特徴)

  • 胸郭出口症候群の一因(中斜角筋との連動)
  • 頸肩部のコリ・張り
  • 肩甲間部痛、上背部痛
  • 呼吸補助筋としての過緊張(浅い呼吸)
  • 肩甲骨の可動制限や上肢挙上制限
後斜角筋が緊張すると、上背部や肩甲間部に痛みを感じることがある。 また、中斜角筋とともに胸郭出口部を狭め、神経・血管圧迫による しびれ・冷感などの症状を生じる場合がある。

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