トレンデレンブルグ徴候(Trendelenburg sign)

■ 概要

トレンデレンブルグ徴候は、片脚立位時の骨盤の安定性を評価し、中殿筋小殿筋の機能低下股関節外転筋群の障害を判定する理学的所見である。 主に上殿神経障害や股関節疾患の評価に用いられる。


■ 目的


■ 方法

  1. 患者を立位とする
  2. 片脚立位(検査側で支持)をとらせる
  3. 骨盤の高さの変化を観察する

■ 陽性所見

支持脚側の中殿筋機能が低下している場合、反対側(非支持側)の骨盤が下制する。 これをトレンデレンブルグ徴候陽性とする。


■ 解釈(病態)

正常では、中殿筋小殿筋が収縮して骨盤を水平に保つが、機能低下があると骨盤を保持できず下制が起こる。

また、歩行時にはトレンデレンブルグ歩行(動揺性歩行)として観察される。


■ 鑑別のポイント

  • 疼痛による抑制でも陽性になる(偽陽性に注意)
  • 筋力低下か痛み回避かの判断が重要
  • 腰椎由来の神経障害(L5)との関連も考慮

■ 東洋医学的関連

トレンデレンブルグ徴候は、東洋医学では以下のように解釈される。

  • 肝血不足:筋の栄養不足による支持力低下
  • 腎虚:下肢の支持力低下・慢性化要因
  • 気血両虚:筋力低下・持久力低下
  • 経筋の失調:筋の協調性低下

関連する経絡は以下が中心となる:


■ 鍼灸臨床との関連

● 病態把握

  • 局所:筋力低下・筋抑制
  • 全身:肝腎不足(慢性例)

● 治療方針

  • 中殿筋の機能回復(筋賦活)
  • 股関節周囲の安定化
  • 肝腎の補益(慢性・高齢者)
  • 経筋バランスの調整

● 代表的な経穴

● 臨床的ポイント

  • 筋力低下例では刺鍼+運動療法の併用が重要
  • 電気鍼による筋賦活が有効な場合がある
  • 単なる痛みではなく支持機構の破綻として評価する

■ 注意点(安全管理)

  • 転倒リスクがあるため必ず支持を確保する
  • 疼痛が強い場合は無理に実施しない
  • 術後・骨折後は医師の指示に従う

■ まとめ

トレンデレンブルグ徴候は、股関節外転筋群の機能と骨盤安定性を評価する重要な所見である。 東洋医学的には肝腎の虚・筋の失養として捉えることができ、 鍼灸治療では局所の筋賦活と全身調整の両立が重要となる。

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