■ 概要
ラセーグテスト(SLR)は、下肢を伸展したまま挙上することで坐骨神経および腰仙神経根の伸張ストレスを加え、腰椎椎間板ヘルニアや神経根症の有無を評価する代表的な理学検査である。 腰下肢痛の評価において最も重要な検査の一つである。
■ 目的
- 坐骨神経の伸張による神経根症状の評価
- 腰椎椎間板ヘルニアのスクリーニング
- 神経性疼痛と筋性疼痛の鑑別
■ 方法
- 患者を仰臥位とする
- 膝関節を伸展したまま下肢をゆっくり挙上する
- 疼痛の出現角度と部位を確認する
■ 陽性所見
挙上中(一般に30〜70度の範囲)で、殿部から下肢後面にかけての放散痛・しびれ(坐骨神経痛)が再現される場合を陽性とする。
■ 解釈(病態)
下肢挙上により坐骨神経および神経根が牽引され、圧迫や炎症がある場合に症状が誘発される。
- 腰椎椎間板ヘルニア(L4/5、L5/S1が多い)
- 神経根炎
- 坐骨神経障害
30度未満での疼痛:重度の神経根障害や急性期 70度以上での疼痛:筋・筋膜由来の可能性
■ 関連検査(重要)
● ブラガードテスト
SLRで疼痛が出た角度から少し下げ、足関節背屈を加えて再び神経症状が出現すれば神経由来を支持する。
● クロスSLR(健側挙上テスト)
健側を挙上して患側に症状が出現する場合、椎間板ヘルニアの可能性が高い。
■ 鑑別のポイント
- ケンプテスト陽性 → 圧迫系(椎間関節・狭窄)
- SLR陽性 → 伸張系(椎間板ヘルニア)
- 局所の張りのみ → ハムストリングス短縮
■ 東洋医学的関連
ラセーグテストで誘発される坐骨神経痛は、東洋医学では典型的な痺証(ひしょう)として捉えられる。
症状の走行は主に以下の経絡と一致する:
■ 鍼灸臨床との関連
● 病態把握
● 治療方針
● 代表的な経穴
● 臨床的ポイント
- 陽性例では神経刺激を強める操作は避ける
- 急性期は軽刺激+遠隔取穴が基本
- 改善に伴いストレッチ・運動療法を併用する
■ 注意点(安全管理)
- 急性期の強い疼痛では無理に挙上しない
- 過度な伸張で症状を悪化させない
- 両側比較を行い慎重に評価する
■ まとめ
ラセーグテストは、坐骨神経および神経根の伸張による症状再現を評価する腰下肢診断の中核検査である。 ケンプテスト(圧迫)と組み合わせることで病態の鑑別精度が高まり、 東洋医学的には痺証・瘀血・腎虚として捉えることで鍼灸治療へと応用できる。
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